海外 2020.02.13
【コラム】狼たちの躍動を見よ。

【コラム】狼たちの躍動を見よ。

[ 直江光信 ]

 この白星は、単なる1勝にとどまらない価値をサンウルブズにもたらすだろう。きちんとステップをふめば、これまで勝てなかった相手にも勝利できる。ボールインプレーの時間を長くしてスピードで上回るスタイルが自分たちの武器であることも、あらためて実感できた。ワールドカップをきっかけに爆発的に増えた新しいファン層に対し、サンウルブズのゲームを見る楽しさをアピールすることにもなったはずだ。

 むろん試練は続く。スーパーラグビーの本当の厳しさを味わうのは、むしろこれからだろう。一方で、そうしたタフな環境で戦っていくことが、選手を飛躍的に成長させるのも事実だ。その成長を求めて険しい道のりを歩む決断をしたのが、今季のメンバーたちでもある。

 共同キャプテンに指名された森谷圭介のハツラツとしたアタック、最終選考でワールドカップスコッドから外れた布巻峻介のブレイクダウンでの存在感は、スーパーラグビーで戦うことの価値を如実に表していた。このレベルでも力が通用することを証明したCTBシオサイア・フィフィタ、SH齋藤直人ら大学生たちの堂々たるプレーぶりも頼もしい限りだ。ハングリーで可能性に満ちた狼たちが、どのような成長を遂げていくのか。楽しみに見つめていきたい。

【筆者プロフィール】直江光信( なおえ・みつのぶ )
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長

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