海外
2020.02.13
【コラム】狼たちの躍動を見よ。
実際にトレーニングを見ても、始動して2週間足らずとは思えないほどチームには一体感があった。顔を合わせたばかりのメンバーもいるのに、選手、スタッフ全員が同じ方向を向いている。もちろん精度は満点とはいかないが、明確な指針に基づき、誰もが自分たちのスタイルを認識して懸命にメニューに取り組む。いいコーチングの存在は明らかだった。
もうひとつ印象的だったのは、選手たちの貪欲な姿勢だ。一人ひとりが「やってやる」という意欲に満ちている。そんなイメージ。スーパーラグビーは甘くない。この時点で開幕戦勝利を予想していたといえば嘘になる。でも、このチームは絶対にファンががっかりするようなゲームはしない。それだけは確信できた。
果たして、開幕戦は序盤からサンウルブズの気迫と準備が際立つ展開となった。運動量で相手を上回り、自分たちの強みを効果的に活用して好機を着実に得点へ結びつける。ディフェンスでも接点でのファイト、突破された後のカバーリングと懸命に体を張り続け、安全圏のリードを守り抜いた。思い描いていた通りの快勝だった。
「この勝利で、我々が寄せ集めではないとわかっていただけたらうれしい」
大久保ヘッドコーチの試合後のコメントだ。その言葉通り、サンウルブズはあざやかなラグビーで周囲からの不安の声を一掃してみせた。ワールドカップに出場した5人のオーストラリア代表を擁しながら、焦点の定まらぬ戦いに終始したレベルズとは対照的な、ビッグパフォーマンスだった。