コラム 2020.01.24

【ラグリパWest】京都工学院、節目の創部60周年。

[ 鎮 勝也 ]
【キーワード】, ,
【ラグリパWest】京都工学院、節目の創部60周年。
近畿大会出場がかかった京都外大西戦を観戦する京都工学院の高崎利明GM(左)と山口良治総監督



 もう、伏見工というチームはない。
 深紅に黒襟のジャージーは学校統合で京都工学院に名前を変えた。
 でも、自然と「フシミ」と呼んでしまう。
 
 年長者ほど、その傾向は強い。
 歴代6位の全国大会優勝4回。それらは伏見工時代になされる。

 先のW杯では日本代表にOBのSH田中史朗(キヤノン)、SO松田力也(パナソニック)を送り込んだ。2人は初8強に貢献する。
 インパクトは依然として大きい。

 その創部は1960年(昭和35)。今年は節目の60周年だ。SO中村大介は話す。
「新チームの最初のミーティングはその話でした。みんな気持ちがより高まりました」
 中村らが最上級生となり、始動したのは昨年11月19日。全国大会の府予選決勝で京都成章に5−31で敗れた2日後だった。

 首脳陣たちからは語られる。
「ウチは60周年。全国大会は100回。ともに記念の年。出場を楽しみにしている人たちがいる。ラグビーができることに感謝して、いいラグビーをしないといけない」

 監督の大島淳史は今年7月に38歳になる。現役時代はFL。主将でもあった。
「僕たちが3年の頃に創部40周年でした」
 80回大会(2000年度)では決勝で佐賀工を21−3で破った。節目で頂点に立っている。

 大島に率いられる京都工学院は、1月19日、2年連続34回目の近畿大会出場を決めた。新人戦を兼ねた予選Dブロック決勝で京都外大西に106−5(前半57−0)と圧勝する。

 総監督の山口良治は近畿大会開幕の2月15日に喜寿の誕生日を迎える。ベンチのはるか後ろで持ってきた簡易椅子を使って、チームを見守った。今、杖を手放せない。

「ワントライを許してしまったあたりがね。まあ、相手の執念やと思うけど、あそこでトライをさせてしまうのはまだまだ甘い」

 FLとしての日本代表キャップは13。その山口が保健・体育教員として京都市立の伏見工に赴任したのは1974年。翌年、監督に就任し、6年目の60回大会で全国優勝を果たす。主将は後年、「ミスターラグビー」と呼ばれるSO平尾誠二だった。

 その60回を皮切りに、72、80、85回大会でも頂点に立つ。準優勝は2回。大会出場はここまで20回を数える。
 ただ、ライバルに成長した京都成章の存在があり、95回大会を最後にここ4年間は全国舞台からも遠ざかっている。

 山口は言った。
「私学全盛の時代やな」
 1月7日に終幕した99回大会では準々決勝に勝ち上がった8校中、同じ公立は奈良の御所実のみ。60回大会は5校あった。


PICK UP