【ラグリパWest】京都工学院、節目の創部60周年。
孫と同じ世代の選手たちに視線を向けながら、山口は続ける。
「花園のファンの中にはフシミのファンもいてくれるはず。フシミの名前は消えていない、という意識を持ってほしいね」
今年のチームを大島は評する。
「大きくありません。松永を除いて、みんな180以下ですね」
NO8の松永壮太朗だけが186センチ、86キロとサイズがある。
そのため、大島たちは伝統となる「ボールを動かすラグビー」にこだわる。
「アタックのセッティングを速くする、球出しに時間をかけない、ラインアウトからでも素早くボールを入れる、PKでは早く展開する、そんなことを意識してやっています」
府予選決勝の京都外大西では15トライを挙げた。エースで主将のFB寺山廉太郎を左足首脱臼骨折で欠いたり、経験を積ませるためにフロントローの3人を控え選手で構成したが、獲得の5点はすべてBKが記録した。
大島は現状を好ましく思っている。
「展開しよう、ボールを動かそうという意識は高いと思います。取り組んできたものができている感じはしています。これからも積み上げをしていかないといけません」
現役選手たちの奮闘に呼応するように、昨年12月17日、「京都伏見クラブ」設立の記者会見がなされた。
伏見工OBが2011年に作ったNPO法人「伏見クラブ」に企業との連携を導入し、発展させた。これまでは小中学生のラグビースクール運営が中心だったが、今後は学習塾チェーンの協力を得て、スクールに英語学習を採り入れたり、社会人選手の引退後の就労などセカンドキャリアの支援なども行う。
京都伏見クラブの活動充実は、チームにも利する。中心的な役割を担う高崎利明は期待感を持っている。
「よい影響は必ずある」
高崎は京都工学院の教頭であり、ラグビー部では監督を経験し、現在はGMだ。初優勝の60回大会で平尾とHB団を組んだ。
周囲の環境整備も進む中、71回目の近畿大会は徐々に迫ってくる。今年は地元開催のため、出場枠は例年の2から4に増えた。ほかに京都成章、同志社、洛北が出場する。
16校で争われる大会で5位までに入れば、3月開幕の21回目の選抜大会に出場する。
京都外大西戦でゲームリーダーも担った中村は力を込める。
「近畿で優勝して、選抜に行きたいです」
春の勝利の積み重ねが夏、秋につながり、そして冬の全国大会へと続く。
創部60周年と100回記念大会。2つをリンクさせるべく、京都工学院は研鑽に励む。