国内 2020.01.22
「明治の文化、積み上げる」。明大ロック片倉、次年度への意欲

「明治の文化、積み上げる」。明大ロック片倉、次年度への意欲

[ 編集部 ]

PR笹川をサポートする片倉(撮影:松本かおり)

 原因は、明治FWの選手個々が、押してくる早稲田にバラバラな対応をしてしまったことだった。ゴールまで5メートルしかないラインアウトでモールを組まれ、初めに勢いがついたら止めるのは難しい。その重要な初動で、明治が意思統一をできていなかった。

「サックかスマッシュか、いつもだったら必ず、声に出して確認をするところなのですが、あの時に限ってそのコミュニケーションが取れなかった」

 片倉はいつものように、相手のセットアップまでの様子を観察していた。

「あのラインアウトは、絶対に何か早稲田がやってくる、スペシャルプレーで来るという確信がありました。早稲田がサインを決めるのがすごく早かった」

 キャッチ直後の密集周りのスペースが危ないと感じた。FW戦では分がある明治に対して、早稲田はそれをいなす奇襲を準備しているはずだ。実際にこの試合の序盤2本の早稲田の連続トライは、どれもセットプレーからの準備された仕掛けだった。

 が、実際は普通に押してきた。

「スペシャルな動きへの対応を、と。それでいつもの声がかけられなかった」

 早大HO森島大智がモールでのトライを決めて、明治0ー21早稲田。勝利を重ね、自分たちの形をストイックに磨き上げてきた明治はこの日、予想外の場面の連続に、力を出しきれなかった。ラインアウトの戦術にたけ、相手の様子に敏感に反応した片倉らの研ぎ澄まされた対応。その結果、「いつもの一声」がかけられず、相手を勢いに乗せるスコアが積み上がってしまった。

 片倉はラインアウト博士だ。その意欲とセンスを買われて2年時から上級生と一緒にラインアウトのセッティングを考え、各校との駆け引きの最前線に立ってきた。今でも明治のFWとして自分には物足りなさを感じるという片倉は、もともとは、フィジカルを前面に押し出す選手ではない。

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