国内 2019.12.13
川崎兄弟の入替戦。関東学院大ラグビー部、3年ぶり1部昇格。

川崎兄弟の入替戦。関東学院大ラグビー部、3年ぶり1部昇格。

[ 向 風見也 ]
ラストイヤーは副将として関東学院大をけん引した川崎龍清(撮影:松本かおり)

「おい、何で2部に落ちてんだよ!」

 自分を慕って関東学院大に入る清純にこう言われたのは、龍清が3年目のシーズンを迎える頃だったか。17年度の入替戦に出場も、専大に38-43で敗戦。翌18年度は同2部でプレーするのだが、いざシーズンに入るとあらゆる面で1部と2部との違いを痛感することとなる。

 対戦相手のレベルはさることながら、試合のできる環境に大きな隔たりがあった。会場の多くは観戦スペースの限られた質素なグラウンドばかりで、トレーナーにテーピングを巻いてもらう場所が屋外にしかないこともざらだった。弟たち下級生を1部でプレーさせられないことに、申し訳なさを覚えた。

 今季も引き続き、1部昇格を目指した。18年度は2部で全勝優勝を果たしながら、熊谷での入替戦では中大に29-47で敗れている。

 最終学年となった龍清は、「今年は同じ轍を踏まないようにしたかった」。当時の根本的な課題に手をつける。

 選手同士で物事を決める習慣を作り、大きな試合で問題が起きても落ち着いて解決できるようになりたかった。そのために、普段から話し合う機会を増やした。

「今年は皆で話し合って、皆で盛り上げる。チームで動くことを意識しました。ミーティングを学生中心でやろうとしたり、練習中の声かけを多くしたり。個々の力は去年の方が強かったかもしれませんが、最後(入替戦)では自分たちでミスをして、それを改善できなくて、そのまま、負けてしまった。同じことはしたくない。試合中のグラウンドには選手しかいないので、(普段から)自分たちで発信することをしました」

 勝負の入替戦で、その成果は現れる。清純は自陣から脱出する際にタッチキックを蹴っていたが、時折チャージの網にかかりそうになったのを受けて蹴る前の立ち位置を修正。圧力から逃れた。

「去年の入替戦も自分が出て負けたのですが、最初(立ち上がり)さえうまく入れれば、いける自信があった」

 一時は17-28と11点ビハインドを背負ったが、龍清ら4年生は心のなかの焦りを抑えて「ここで沈んだら去年と一緒だぞ! 絶対に声を掛け合え! 走れ!」と言い合った。その延長線上にあったのが、後半32分、38分の連続トライによる勝ち越しと、クライマックスシーンでのタックルの嵐だった。

 龍清は卒業後、国内トップリーグのクラブへ加入予定。高校時代に取った資格が「使うことはなくなりました」と笑う。

 兄と同じ高校の機械科で「アーク溶接、ガス溶接、3DCAD」の関連資格を取っていた清純もまた、競技活動で未来を切り開くかもしれない。兄たち4年生とつかんだ1部のステージで、スケールの大きなプレーを披露したい。

3年生になる来季、中心選手として活躍が期待される川崎清純(撮影:松本かおり)

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