ワールドカップ 2019.12.11
ラグビー日本代表の通訳・佐藤秀典さんが教育界に転職

ラグビー日本代表の通訳・佐藤秀典さんが教育界に転職

日本代表の練習で通訳として走り回る。スポーツの通訳は、体も使う(撮影:松本かおり)

 スポーツの現場はつねに戦い。ときには、伝えたくない言葉や叱責を訳さなければいけないときもある。

「大切なのは平常心を保つこと。人と人が会話をするときには、相手がどういう表情で、何を伝えたいのかを五感を感じて情報を得ています。言語を訳すだけなら棒読みをすればいいのですが、スポーツの現場では、そうはいきません。何の感情も込めずに伝えたら、受け取る側は、その人がどういう意味で、それを言っているのかが分かりません。必ず話している人の口元や表情を見て、忠実に伝えるようにしています」

 今回のワールドカップでは、当時世界ランキング2位のアイルランド戦前にジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが選手たちに伝えた言葉が、選手たちの気持ちを大きく鼓舞させたことが話題となった。

「誰も我々が勝つと思っていない。誰も接戦になるとすら思っていない。誰もどれだけ努力をしてきたか知らない。誰もどれだけ犠牲を払ってきたのか知らない。やるべきことは分かっている。信じているのは自分たちだけだ。お互いを信頼して、みんなを信じて戦おう」

 このジェイミー・ジョセフHCの言葉を、いかに伝えるか。試合前に気持ちを鼓舞している選手たちにとって、通訳の伝え方が与える影響は大きい。

 今年の流行語大賞にも選ばれた「One Team」。佐藤通訳が、もう一つ大切にしているのが信頼関係だ。「ちゃんと自分の言葉が相手に伝わっていると思われる」。その関係を築くためには、日頃からのコミュニケーションが、とても大切だと言う。

「スポーツの現場では、教科書では教えてくれないことばかりです。自分が言いたいことを、自分の言葉でしっかりと伝えることができることで、相手との関係性を構築することがよりスムーズになります。スポーツの現場では、共通言語が英語になりつつあります。今後選手だけではなく、トレーナー、メディカルスタッフ、コーチ、チームスタッフなどを目指す人が、同じ技術の持ち主だとしたら英語ができる人が優遇されていくでしょう。スポーツ現場で英語力が武器になることをこれからの若い人たちに伝えていきたいと思っています」。

その思いを詰め込んだ、履正社医療スポーツ専門学校「スポーツ外国語学科」学科長に就任した。いまは2020年4月開校に向けて、その準備に走る。

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12月22日(日)、同校は日本代表のキャプテン・リーチ マイケル選手をゲストに招き、トークイベントを開催する。高校生以上の学生と保護者が対象で、入場は無料。 

履正社医療スポーツ専門学校 トークイベント

「日本スポーツと英語の新時代」

進行:生島淳氏(スポーツジャーナリスト)

登壇者:リーチ マイケル選手(ラグビー日本代表主将)/佐藤秀典(履正社医療スポーツ専門学校「スポーツ外国語学科」学科長、ラグビー日本代表通訳)

会場:履正社高等学校(大阪府豊中市長興寺南4-3-19)

日時:12月22日(日)11:30~(11:00受付開始)

定員:200名(先着順。定員に達し次第、募集を終了します)

現在、ホームページで申し込みを受付中。

www.riseisha.ac.jp/

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