海外 2019.08.03

なぜニュージーランドへ向かうのか。立川理道、不屈の思いを語る。

[ 編集部 ]
なぜニュージーランドへ向かうのか。立川理道、不屈の思いを語る。
前向きに歩み続ける立川理道。(撮影/松本かおり)

 がんばれジャパンの仲間たち。くじけるな自分。
 ワールドカップへ向かう気持ちは、そんな感じだ。
 8月2日、立川理道(クボタ)がニュージーランド、オタゴ地方代表(NZ国内選手権/マイター10カップ)への短期加入を発表した。しかし、大舞台への歩みを止めていない。

 何のためにラグビー王国へ向かうのか。
 ワールドカップへの準備のためだ。
「スタッド・フランセへ、という案もありましたが、そちらは時期の関係もあって、練習生としてトレーニングに参加できるだけでした。オタゴ代表では、もちろん競争はありますが、それに勝てば試合にも出られる。チーム(クボタ)が(トップリーグカップを終えたら)オフに入るので、そこでプレーできたらプレー感覚を維持できるな、と」

 ワールドカップスコッドから外れている。
 先週、ジャパンはフィジーに快勝し、出場した選手たちは評価を高め、チームの連係はさらに密になった。
 自身の置かれている立場が苦しいのは分かっている。
「もちろん、自分がワールドカップに出たいから判断したわけですが、その行動が少しでもいいから、いま代表にいる人たちの刺激になったらいいな、とも思っています」
 ハルはあきらめていない。
 その姿勢が、現日本代表選手たちの心を動かしたら本望だ。「自分たちも負けていられない」と。

 全力でジャパンの仲間たちを応援する。
 自身も、全力でそこへ入れるように準備する。
 その生き方が、若い世代にも何かを伝えられたらいいな。そう考える。
「自分の持っている強みを出し切れない。精一杯やったのだけど思いが届かなかった。どうすれば試合に出られるんだろう。そういう悩みを持っている選手ってたくさんいると思うんです」
 誰も恨まない。挑む気持ちを失わない。変わらず、前へ進み続ければ道が拓くと信じることが自分を成長させる。
 55キャップも持つ男がそれを実践することで勇気付けられる人は多いだろう。

 現地での滞在期間は8月14日から9月17日を予定している。
 オタゴ代表の指揮を執るのは、サンウルブズのディフェンスコーチを務めていたベン・へリング。日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチとのつながりもあるから、「いいことも、悪いことも伝わる」と気を引き締める。
「(ワールドカップトレーニングスコッドから外れる時に)自分が現メンバーのすぐ下にいるとか、何番目に位置しているとか、そういうものは何も聞いていません。トップリーグの他の選手たちと同じ立場。そう考えて勝負していきたい」
 まず、トップリーグカップに集中する。「オタゴのことはそれが終わってから考えます」と言った。
 8月4日、準決勝で東芝と戦う(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)。クボタスピアーズの12番には、きっとテストマッチの気迫が漂っている。

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