日本代表 2019.07.30

暑さ、歓声などを擬似体験。男女セブンズ代表、「1年後」のシミュレーション実施。

[ 編集部 ]
暑さ、歓声などを擬似体験。男女セブンズ代表、「1年後」のシミュレーション実施。
試合直後の藤田慶和。ピッチ上は風がなく、汗が吹き出した。(撮影/松本かおり)



 関東地方、やっと梅雨明け!
 待望の宣言が出た7月29日の東京は、カンカン照りだった。
 調布にある味の素スタジアムでは2020年の東京オリンピックに向けて男女セブンズ日本代表候補が活動していた。
 ちょうど1年後(男子=2020年7月27日〜29日、女子7月30日〜8月1日)、同スタジアムでは五輪のラグビー競技(セブンズ)がおこなわれる。

 7月12日から20日間に渡る合宿は「オリンピックシミュレーション」として実施され、28日からの3日間は、味の素スタジアムで試合を実施。宿舎からの移動、ウォーミングアップ会場での準備、ピッチへの入場、試合後の退場経路、午前の試合と午後の試合間の過ごし方やタイムスケジュールなどを、本番同様におこなった。
 無人のスタンドながら、試合中は場内放送で観客の声援を再現した音を大音量で流した。その中でのコミュニケーションの取り方をやっておくためだ。
 スタッフの数、配置も五輪基準だった。

 大学生選手などの協力を得て男子チームと試合をおこなった女子代表候補の中村知春主将は、本番を再現した中でのリハーサルを体感し、「暑さとか湿気を実際のスタジアムで経験できたのはよかった」と話した。
「(観客の声援を想定した)大音量の中で、何が聞こえて何が聞こえない。どのトーンの声が聞こえやすいとか、そういうものに慣れることができるのは大きいですね」
 ただ、接点で前に出られずブレイクダウンで苦しんだ実戦面には納得いかず、パフォーマンスについては「受けている」と反省。残り1年の準備期間については「焦りしかありません。倍の濃度で過ごすしかありません」と気を引き締めた。

 国内の有力選手や外国人留学生で組んだ相手と戦った男子代表候補は、途中交代せず、全員が14 分フルタイムでプレーする形でトレーニングマッチに挑んだ。対戦相手は選手入れ替えによりフレッシュな者がピッチに立ち続けたものの、走り込んできたフィットネスを活かす。クロスゲームを制した。
 HOの位置にも入るなど、複数ポジションでのプレーにも挑戦する藤田慶和は、照りつける日差しの中で「この暑さに勝たないとメダルはないものと考えないといけない」と話した。
「かなり走り込んできましたが、まだミスが多い。そういうところを改善していけば、もっといい試合ができると思います。暑さについては自分たちでコントロールできないので仕方ありませんが、それを経験しておくなど、他国ができないことをやれるのはアドバンテージになると思います」

 暑さ対策にはウェザーニューズ社の協力も得て、対策を練っている。
「大会直前の8週間の調整によって選手たちのコンディションは大きく変わるので、天候は大きく関係してくる」
 そう話すのは男子代表の岩渕健輔ヘッドコーチだ。この日は専門家にグラウンドに入ってもらい、ピッチレベルの気温(約40度)や熱のこもり方を調べた。
「今年は梅雨明けが遅く、暑くなるのも遅かった。そういうことも経験できてよかった。きょうのような暑い日の(体の)冷却方法などもいろいろと考えています」
 この先の1年の強化スケジュールもすでに組んではいるが、気象条件によって微調整をしていく予定だ。
 女子代表を率いる稲田仁ヘッドコーチも「暑熱順化をやってきましたが、梅雨の影響が大きいことが分かったのはいい勉強になった」と話した。

 このシミュレーションは7月30日まで続けられる。
 しかし、男女代表とも3日間、6試合を高いパフォーマンスで戦い抜く準備は今後もまだまだ続く。
 ホームで戦えるアドバンテージをフルに活用する。

ピッチへの入場も試合同様のスタイルでおこなった。(撮影/松本かおり)
女子代表候補は接点で前に出られず苦しんだ。(撮影/松本かおり)
男子代表候補はフィットネスを活かして戦った。写真は本村直樹。(撮影/松本かおり)
ピッチ上は40度近くに。暑さがこもるかんじだった。(撮影/松本かおり)


PICK UP