日本代表 2019.06.21

得意の防御でさらに進化へ。日本代表の中村亮土が思う「合宿でしかできないこと」。

[ 向 風見也 ]
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得意の防御でさらに進化へ。日本代表の中村亮土が思う「合宿でしかできないこと」。
日本代表の宮崎合宿・第1クールでの中村亮土(撮影:Hiroaki.UENO)

 渡りに船だった。

「個人的にレベルアップしないといけないと思っていたところが、チームにとってもっとやらなくてはいけないところとマッチした感じです」

 6月10日からの日本代表の宮崎合宿中、参加する中村亮土はこう語った。接点で球へ絡むジャッカルというプレーを磨きたいと感じていたところ、全体練習でその領域に特化したトレーニングがおこなわれたというのだ。

 5月までおもにウルフパックという代表候補チームで強化試合をおこなってきた中村は、こう感触を語る。

「いまは(接点で)ボールに絡んではいるけど、(相手の手中から球を)獲り切れていない。それを獲り切れるようにしようとしています。改めて、身体の使い方が大事になってくると再確認しました。プレッシャーがかかるなか、いかに相手の力をいなしながら自分のパワーを使うか。回数を重ねないとわからない部分(を養いたい)」

 身長178センチ、体重92キロの28歳。代表戦出場数を意味するキャップはこれまで16獲得してきたが、特に近年の進化で所属先であるサントリーの沢木敬介前監督からも「亮土は一番、成長した」と認められる。

 強靭なフィジカリティを活かしたランとタックル、目配りの妙を活かした防御ラインの統率で日本代表の正インサイドCTBの座を狙う。攻撃面での伸びしろについて「より相手(防御網)に近いところでいい判断をしたい」と語りながら、得意の防御でもジャッカルの質にこだわりたいという。

 グラウンド外で意識するのは、「この合宿でしかできないチームビルディング」だ。

 約60名いた代表候補選手を42名に絞ったチームは、7月下旬からパシフィック・ネーションズカップに挑む。今秋のワールドカップ日本大会に向けメンバー入り争いが激化するなか、元帝京大主将でもある中村は「ただセレクションのためだけの合宿ではなく、チームがひとつになるための合宿にしていければ」と強調するのだ。少人数での団結力を大所帯での組織力へ昇華する「ミニチーム制」のもと、親睦を深めたい。

「試合が近くに控えていますし、その先にワールドカップがあるので緊張感があるのはもちろん。そのなかで、同じ方向を見てやっていくのが大事」

 日本代表は19日に一時解散し、23日に再始動する。

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