海外 2019.06.21

ジャパンエスアール渡瀬CEO、サンウルブズの2019シーズン総括

[ 編集部 ]
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ジャパンエスアール渡瀬CEO、サンウルブズの2019シーズン総括
2019シーズンのサンウルブズ。秩父宮ラグビー場での国内最終戦後(Photo: Getty Images)

 南半球強豪国のチームと競う「スーパーラグビー」に参加して4季目のシーズンを戦い、2勝14敗の最下位という成績で2019年大会を終えた日本チームのサンウルブズ。同クラブを運営する一般社団法人ジャパンエスアールの渡瀬裕司 代表理事CEOが6月21日、2019シーズンを総括するコメントを発表した。以下のとおり。

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 2019年のスーパーラグビーシーズンを通して、皆様にはヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(以下、サンウルブズ)への多大なるご支援、ご声援をいただきまして、誠にありがとうございました。
 サンウルブズの2019年シーズンは、最終的には2勝14敗という成績に終わりました。サポートいただきましたスポンサー・サプライヤーの皆様、ファウンダーズクラブの皆様、メディアの皆様、そして苦しい時も大きな声で応援していただいたファンの皆様には、大変申し訳なく思っております。
 今シーズンのサンウルブズが不振に陥ったことに関しまして、サンウルブズを代表して少し述べさせていただきます。

 1つが、トニー・ブラウン ヘッドコーチに、シーズンを通してチームに帯同してもらうことができなかったことです。今年はワールドカップイヤーということもあり、「日本代表の準備のため、トニー・ブラウンは一時的にチームを離れ、スコット・ハンセン アシスタントコーチがヘッドコーチ代行として指揮を執る」ということを、2019シーズン当初よりアナウンスさせていただきました。しかしながら、その準備には相当量の時間がかかってしまったのは事実であり、またヘッドコーチ不在のままスーパーラグビーのシーズン開始を迎えたことが、想像以上の影響をチームに与えてしまったのは事実です。
 ブラウン ヘッドコーチとハンセン アシスタントコーチは綿密に連絡を取り合い、選手起用や戦術戦略に関しての意思疎通を充分に図っておりました。彼らが十分な話し合いの中で、同じ方向軸での指揮を執っていたことに間違いはありませんし、ヘッドコーチ不在の中で、ハンセン アシスタントコーチは十二分の働きをしてくれました。しかしながら、このような結果となってしまったのは、我々マネジメントに責任があると言わざるを得ません。
 一部では「トニー・ブラウン ヘッドコーチはサンウルブズの指揮をとらず休暇をとっている」との報道もありましたが、それは一部を切り取ったもので、事実とは異なり、実際には日本代表の準備にあたっておりました。ワールドカップに向けて、彼のより一層の活躍を期待したいものです。

 もう1つ、選手起用の点についてお話しさせていただきます。
 2019シーズンはサンウルブズと並行して、日本代表候補選手を中心とした“ウルフパック”というチームを組成し、トレーニング及び試合をおこなってきました。当初の予定ではスーパーラグビーの4月中旬から下旬の試合において、ウルフパックからサンウルブズに選手が合流し、スーパーラグビーの試合に出場する方針でした。
 結果として、何名かの選手はウルフパックからサンウルブズに合流できたのですが、一方でコンディションが上がらない選手については、サンウルブズには合流せずに、ウルフパックでコンディションを上げることに注力しました。これは、スーパーラグビーが非常に強度の強い試合であり、コンディションが良くない場合には、怪我をするリスクが高まるということに他なりません。
 実際に、サンウルブズではシーズン最初から想定外の怪我人が続出しましたし、その影響で新たな戦力の補充にも苦心しました。スーパーラグビーにおいて重要なのは、その時点でコンディションが一番良い状態にある選手を起用することです。従いまして、怪我人が出る度にジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチはもとより、ブラウン ヘッドコーチ、ハンセン アシスタントコーチらと話し合い、状態の良い選手を選考し招集してきました。
(結果として、サンウルブズでの活躍が認められて日本代表候補に選出されている選手、例えば茂野海人選手や山中亮平選手、ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ選手も出てきました)

 最後に、チームの規律に関して少し話をしたいと思います。
 今年はイエローカードの数が10と、スーパーラグビー15チームの中で一番多く、サンウルブズの歴史から見てもこれまで年間で4~5だったものが倍増してしまいました。
 これは我々マネジメント側が、「One Team」を徹底できなかったことに責任があると感じています。前述した怪我人による選手招集、そしてSANZAAR(大会運営組織)による決定など、チームを揺るがす想定外のことがあまりに多く、まとめきれなかったことに対して責任を感じております。
 私も市原での練習や遠征にも帯同し、選手・スタッフたちと話し合いながら、一つのチームとして足りない部分を埋める努力をしてきましたが、浸透させることができませんでした。

 SANZAARによる決定については、また改めて「日本のラグビーの将来」ということも含めて、日本協会と共にお話しさせていただきたいと思いますが、このサンウルブズというチームを将来的にどのように日本のラグビーのために活用して行くのか、ということは我々の喫緊の課題であると認識しております。

 今シーズンのサンウルブズは多くの外国人選手が在籍し、結果を残すために体を張って、与えられた環境で最大限のプレーをして戦ってくれました。また、少ない日本人選手たちも、外国人選手とコミュニケーションをとりながら、一つのチームとしてまとまる努力をしてくれていました。
 最後まであきらめないで戦ってくれた選手たちを誇りに思いますし、支えていただいた皆様には感謝の気持ちしかありません。

 まもなくラグビーワールドカップが始まります。そしてその後には、2020年シーズンのスーパーラグビーが待ち受けます。
 今シーズンの反省を生かし、2020年シーズンは更に良いチームに成長させるよう努力してまいります。
 皆様には、今後とも変わらぬご支援を、何卒よろしくお願い致します。

一般社団法人ジャパンエスアール代表理事CEO 渡瀬裕司

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