ワールドカップ 2019.06.04
ワールドカップへ向け「新たな戦術も」

ワールドカップへ向け「新たな戦術も」

本番まで約100日。日本代表候補発表会見・指揮官コメント

[ 編集部 ]

 今日、発表するスコッドは宮崎で3回の合宿に入る。 宮崎では、修正と、一から作り直す部分と、そして、必要とされる新しい戦術の導入に取り組む。2回目、3回目の宮崎は、純粋にPNCへの準備になる。

 そしてPNC後は40名のメンバーで網走へ。8月末には、31名のスコッド(最終登録メンバー)を発表する。

*バック3には対戦国に対応できる「高さ」を

 42選手の発表後は、選考についての質疑応答。アタアタの選出や、山田、立川らのベテランが外れたこと、サンウルブズの活躍から選考されたトンプソンらについて触れられた。バック3(WTB、FB)については、アイルランドに対応するためと、具体的な選考理由にも触れた。

 選出されたアタアタ、山田、立川だけでなく、今回選ばれなかった選手たち。そこには一貫した理由がある。

 まず私の仕事は勝てるチームを選ぶこと。大会でのさまざまな状況に対応できるバランスを取ること。その上で、バック3にはXファクター(特別な能力)を持った選手たちがそろうことになった。福岡、レメキ、松島…。

 加えて言えるのは、アイルランドが使ってくる空中戦(ハイパント)に対して、それに耐えうる大きい選手が必要という点。

ボニーことウォーレンボスアヤコはサンウルブズでの起用が選出の根拠に。FW、BKをまたいで活躍(撮影:松本かおり)
ボニーことウォーレンボスアヤコはサンウルブズでの起用が選出の根拠に。FW、BKをまたいで活躍(撮影:松本かおり)

 ただ、今回外れてしまった選手も完全にチャンスがなくなったわけではない。また次の40名を選ぶ過程がある。例えば山田、立川にも、まだスーパーラグビーの試合などが残されている。

 アタアタについては、チーフスではまずまずのプレーぶりで、チーフスのスタッフにも聞き取りを行い判断した。直接指導した機会はないが、先入観なくプレーを見てポテンシャルの高さを感じている。あとは、彼のパフォーマンス次第。

*代表資格の有無、結果を待たず、「まず強化」

 選出メンバーには、現時点で日本代表資格が確認できていない選手がいる。ハッティング、ムーア、ウォーレンボスアヤコだ。ジェイミーHCはこの点について、「まずは強化を進め、資格の有無の結果を待つ」立場を明らかにした。

 代表資格が明確でない選手については、その資格が明確かどうかよりも、強化のタイミングを重視した。(資格有無の)結果はもうすぐ出ると思うが、それを待っていては強化が進まない。まずは選んで、強化のプロセスに彼らを入れて結果を待つ。宮崎合宿は重要な内容になるので。

 トンプソンは、サンウルブズのケガ人の影響でスーパーラグビーに呼ばれた。そこで力を発揮する姿には私も驚いている。彼の不屈の精神を高く評価しているし、周囲の選手からもリスペクトを受けている。代表に対するプライドがある選手。今のパフォーマンスを続けてくれれば重要な戦力になる。(のちの質問で、ジェイミーHCはトンプソンについて「あくまでも競争中の一選手であり、新しい選手でもある」とも)

トンプソン ルークは2015年に南アを破った日本代表。奥様に背中を押されたことが「復帰」のきっかけ(撮影:松本かおり)
トンプソン ルークは2015年に南アを破った日本代表。奥様に背中を押されたことが「復帰」のきっかけ(撮影:松本かおり)

 今回選ばれなかった選手の今後の評価については、まずスーパーラグビー(サンウルブズ)の試合がある。ケープタウンとアルゼンチンでビッグゲームが控えている。これをしっかり見たい。彼らは私がこれまで3年間見てきている選手でもあるので、検証をしたい。

 そして、スーパーラグビーの後は、トップリーグのカップ戦がある。(代表選手に)ケガ人が出ることはあり得る。出場選手たちは、いつ招集されてもいいようにフィットしているはず。いい準備をしている状態だと思う。

*複数ポジションOKの選手を

今後、2度の選考で40人、31人を選んでいく指針を聞かれたジェイミーHCは、複数ポジションをこなす選手の重要性を語った。一方で、フロントローには12人を選んだ理由については反対に、ポジション特有の専門性を考慮したことを明かした。

 通常の遠征やテストマッチでの選考は33名。W杯の最終メンバーは31名。ポジションによっては薄くなってしまうこともある。そこで選手に求められるのは、複数のポジションをカバーできるかということ。松島はFB、WTBの他に前回W杯でのCTB経験がある。トゥポウもバック3ができ、ラボーニ(ウォレンボスアヤコ)は、6番、8番、12番をこなす。山中も多くのポジションでプレーできる貴重な存在だ。

(CTBの選考について聞かれ)立川は、かつては共同キャプテンを務めた貴重なリーダー。コーチからも選手からも認められている。ただ、今回の選考についていえば、単に他の選手がより良いプレーをしている、ということだ。

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