インゴールで何を話すか。
「TALK&FIX」で、修正力を伸ばす。プレー中のコミュニケーションのヒント
ラグビーではプレーや戦略、戦術においてよく「修正する」という言葉が使われますね。
試合中のコミュニケーションは、何のためにするのか。目的として、この修正の占める割合は大きい。できていることを 共有し、リマインドをかける(確認して強化する)だけではなく、うまくいっていないことを修正して、勝つために話す。
では、どんな話をすればいいのか。私は「TALK&FIX」(トーク&フィックス)という手法を紹介しています。
◼️多くの情報を集め、
「次、どうするか」決める
チームで修正をするときには、当然、メンバーで話をします。チーム全体で話すこともあるでしょうし、NO8、SHとSOで話すこともあるでしょう。
この話合いを、より効率よく進めるための方法がTALK&FIX(トーク&フィックス)です。
意外に多いのが、話すには話したけれど、話し合いの前後で状況やプレーが何も変わっていないというケース。そうならないためのポイント、今回の最も大きな特徴がFIXというプロセスです。
FIXは、まとめる、決める、固めるといった意味。ここでは、それまで話し合った内容から、話し合いの結論を出す作業です。
この過程を持つことで、「話しっぱなし」(で何も変わらない)は無くなります。
試合中のコミュニケーションは、ほんの数秒のものから、ハーフタイムの10分間のものまで時間的に幅がありますが、トレーニングにおいて採り入れているのは、得失点後の円陣の場面を想定した、60秒から90秒の話し合いです。
静岡聖光学院では、話し合いの最後にFIXの合図として、リーダーの「Ready!」の掛け声の後に「Set!」と全員で言い、パンと手を叩きます。
手を叩くまでの90秒までの間に、次のプレーから全員で意識するべきことが、共有できていなければならない。より状況に合った効果的なポイントを抽出するため、一番最初に行うのは、それぞれが気がついたことや状況を幅広く、たくさん挙げること。TALKのはじめは皆が次々とポイントを出し合って、「場」に並べていきます。もしかしたら、あなたしか気がついていないことがあるかもしれない。自分が「これは」と思うことは、どんどん場に出してください。
この情報共有の時間がプロセスの半分。次にFIXに向かって結論をまとめていきます。
よくある「いまいち」な話し合いは、全体の発言が少ない場合。話し慣れたリーダーが辛うじて場をつなぐくらいで、周りの子は黙ってはじめは、なかなか声が出ないかもしれませんが、当たり前のことでも、まずは声に出してみましょう。まずは、発言をすることが大事。
もう一つの「いまいち」は、ポイントがとっ散らかったまま、FIXを強引にしてしまうタイプ。TALKを仕切るリーダーは持ち時間を意識して。