ワールドシリーズ北九州大会で女子日本勝利ならず 東京五輪へ向け「もっと厳しさ追求せねば」
北九州で女子セブンズ日本代表は勝つことができなかった。ワールドラグビー女子セブンズシリーズの日本ラウンドとして2017年から開催されてきた北九州セブンズで、日本は過去2大会連続全敗の最下位、2019年大会も黒星を重ね、最後の11位・12位決定戦でアジアのライバルで“格上”コアチームの中国に0-7で敗れた。
来季シリーズの開催地から北九州は外れる。ミクニワールドスタジアム北九州で応援してくれたファンやサポーターと一緒に勝利を喜ぶことはできなかった。
「ここまで約3年間、どちらかというとベースの筋力とかベーシックスキルに力を入れてやってきた。成果が出ている部分はあるが、試合で一つひとつのプレーの精度や、試合の中で修正していく力かまだ足りていない。いい勝負になっても勝ち切れないのはその部分だと思う。勝負に勝つにはまだまだ課題が大きい」
稲田仁ヘッドコーチは悔しさをかみしめながらそう振り返った。
大会最終日の4月21日、日本は9位以下のトーナメントに臨み、チャレンジトロフィー準決勝でフィジーに17-28と逆転負けした。
前半3分にPKからの速攻で堤ほの花がフィニッシュし、先制した日本。数分後フィジーにトライを奪われたが、ハーフタイム前、敵陣深くのラインアウトからの攻撃でボールをもらった平野優芽が中央を破って勝ち越しトライを挙げ、12-7で折り返した。
しかし、後半はフィジーが支配。キックオフを工夫して日本の思い通りにはさせなかった。
守る日本はプレッシャーをかけ激しくタックルするも、フィジカルが強い大柄のフィジーの選手たちは簡単には倒れず、オフロードでつながれ、3連続トライを奪われ逆転負け。日本はチャンスでのミスも響いた。
「このレベルで簡単なミスを犯してしまうと、結果として勝てないと改めて痛感した。キックオフレシーブのところで、分析と違うことを相手にやられたときにゲームの中で修正できず、トライを取られたことが結果的に大きくかかわった。キックオフのスキル自体はかなり練習しているが、試合の中で相手に応じて修正することが必要」(稲田ヘッドコーチ)
指揮官が泥臭いガマン比べになると予想していた中国との11位・12位決定戦は、まさにその通りの接戦となり、ガマンのところで負けて0-7で屈した。
前半5分、中国がラインアウトからのムーブで日本のディフェンスの穴を突き得点。日本は攻め込んだシーンもあったが、中国の守りは堅かった。
後半3分、キャプテンの中村知春が反則を犯してイエローカードを出され、日本は数的不利となった。しかし、6人が懸命に粘り、中国にイエローカードが出たあとも両者譲らない激しい攻防が続いたが、スコアは前半から動かず、試合終了の笛で歓喜したのは中国だった。
「自分自身のシンビンで苦しい思いをさせた。チームはよく粘ってくれたが、規律の部分は私からしっかり直していかないといけない」と中村は反省した。コアチーム相手に競ったが、「粘ったところでボールを取り切れないと、相手に継続されて時間が経ってしまう。はやくボールを確保する、相手のボールを取りに行くという積極的なディフェンスの仕掛けが必要だった」。
健闘するが、勝てない。指揮官もキャプテンも、練習から厳しさを突き詰めていくことが必要だと強く感じている。練習の中で本当に厳しくやれていたか、違うと思ったことをそのままにしていなかったか、甘さや、お互いが妥協していくことはなかったか……。
稲田ヘッドコーチはこう言った。
「ぶつかってでもやっていくことが必要なんじゃないかと、選手やスタッフとも話した。個々はもちろん鍛えていくが、意見をぶつけ合って、日々の練習を質の高いものにしていく必要がある」
東京オリンピックまであと1年3か月。ワールドシリーズのコアチームに昇格することができず、強豪相手の試合で経験を重ねていくというプランは実現不可能となった。そのため、日本代表スコッドの大学生はまずは7月のユニバーシアードをターゲットとして目指し、海外遠征も組むなどして強化の適切なサイクルを作っていくことになる。