海外 2019.04.07
【コラム】見えぬガバナンス

【コラム】見えぬガバナンス

[ 野村周平 ]

 

 つまり、理事の定年は原則70歳(選任時)だが、理事会が認めれば特例で許されるというルールだ。関係者によると、この規定は現在81歳で、名誉会長を務める森喜朗・元首相の会長時代に、森氏続投を念頭に変更されたものという。

 現在6人いる会長と副会長のうち、現時点で70歳を超えているのは、80歳の岡村正会長を筆頭に5人いる。関係者によると、副会長と会長は75歳定年という内規があるらしいが、現在公開されている役員選任に関する規定にその記載を見つけることはできない。仮にその5人が続投を望む場合、森氏のように特例を適用していいのだろうか。

 高齢化が進むこの時代に、一概に年齢で定年を区切ることがベストとは思わない。今の役員の人たちがこれまでいかに精力的にラグビーの発展に尽力してきたかを知っているし、功績を否定するつもりもない。それでも、サンウルブズの問題で協会のガバナンス(組織統治)の欠如が明らかになり、運営責任を持つ理事への風当たりが強まるのは健全な組織として当然のこと。公益財団法人である以上、人事に関する議論をつくし、もし続投する場合はなぜ特例を当てはめることになったのか、内外を納得させる説明がなければいけない。

 33歳の太田雄貴会長率いる日本フェンシング協会は、デジタルを駆使した大会改革や外部人材の登用など、2020年東京五輪の先を見据えた施策をどんどん進めている。運営規模や競技人口など条件の異なる他競技と比べてもさして意味がないと言われるかもしれないが、フェンシング協会のように、いかに顧客満足度を高めてファンに足を運んでもらうかは運営サイドが持つべき基本姿勢だ。ラグビー協会には残念ながら、こうしたファンへの視点が欠けている。だから、今回のサンウルブズ除外のように、ある意味で唐突にファンの思いを置き去りにした事態が起きてしまう。

 僕はたとえ、W杯前に協会役員の陣容が変わることになろうとも、「ポスト2019」の日本ラグビーをにらんで、リーダーの新陳代謝を進めるべきだと考えている。これまでのしがらみに縛られず、W杯後の設計図を描くことができるのはいましかない。

野村周平
【筆者プロフィール】野村周平( のむら・しゅうへい )
1980年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、朝日新聞入社。大阪スポーツ部、岡山総局、大阪スポーツ部、東京スポーツ部、東京社会部を経て、2018年1月より東京スポーツ部。ラグビーワールドカップ2011年大会、2015年大会、そして2016年リオ・オリンピックなどを取材。自身は中1時にラグビーを始め大学までプレー。ポジションはFL。

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