海外 2019.03.20

立川理道、4季連続参加のサンウルブズで「まずはプレーでチームに貢献」

[ 向 風見也 ]
立川理道、4季連続参加のサンウルブズで「まずはプレーでチームに貢献」
サンウルブズに追加招集された立川理道(撮影:向 風見也)

 先のことは考えない。試合で「パフォーマンス」を発揮することだけに集中する。何度も強調した。

 日本代表55キャップを誇る立川理道はいま、ナショナルチームのメンバー争いで「下のほう」にいると自己分析。半年後にワールドカップ日本大会を控えるなか、サンウルブズのメンバーとしてスーパーラグビーの試合だけを見つめる。

 チームへは3月18日に合流したばかり。シンガポール・ナショナルスタジアムでのライオンズ戦を23日に控える。

「いまいる立場でパフォーマンスを出すことが大事。先のことは考えず、一日一日、週末の試合でベストを出せるよう準備をしていきたいです」

 身長180センチ、体重95キロの29歳は、日本代表のインサイドCTBとして2015年のワールドカップイングランド大会などで活躍。2016年以降は副将や共同主将を任されるなど、中心選手として期待された。

 もっとも昨秋は、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチいわく「12番(インサイドCTB)に求められるフィジカルが不足している」と代表から落選。日本大会開催年の2019年も、最初は日本代表候補にあたるラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)に入れなかった。

 しかし3月上旬、千葉・NTTコミュニケーションズ アークス浦安パークでのRWCTSキャンプの第5クールへ「練習生」として参加できた。指揮官に「このチームでプレーするのにふさわしい動きを」と告げられるなか、「自分のパフォーマンスにフォーカスする」と原点に立ち返った。この時の「パフォーマンス」が認められ、10日からは沖縄・残波岬ボールパークでの同第6クールに帯同した。

 一方、RWCTSキャンプと同時並行で代表強化を支えるサンウルブズではCTBに怪我人が続出。立川は17日昼に沖縄で打診を受け、今回のサンウルブズ入りを決めた。19日、千葉・市原スポレクパークでの練習後に思いを明かした。

「しっかりアピールしたい気持ちもありますし、久しぶりにプレーできるサンウルブズのために力を出せるようにしていきたい。ポジション的にはフィジカルにプレーすることが求められる。もともと持っているスキルを使いながら、ゲインライン(攻防線)のバトルで負けないよう、アタックでもディフェンスでも身体を張って前に出たいです」

 今季のサンウルブズはここまで1勝4敗。美しい攻撃を見せながら要所の反則で泣いている。チームの印象を聞かれた立川は、「ディシプリンで(反則が多いため)勝ち切れないところもありましたけど、その部分で自分の経験が力になったらいいとも思います。しっかりコミュニケーションを取って選手を動かせることも、自分のできることです」と宣言。最後は改めて、自分の立ち位置を見つめ直すように言った。

「…でも、このチームには僕以外にも外国人を含め経験のある選手が多い。僕が先頭に立って…というより、まずはプレーでチームに貢献していきたい」

 現在はいち選手としての献身を誓う立川だが、サンウルブズの黎明期はリーダーとしても奮闘した。発足初年度の2016年には実質的な副将、翌2017年には共同主将を務めた。突貫工事でシーズン開幕を迎えた黎明期を経験した一人として、チームへの深い思い入れも持つ。

 昨今、2021年以降はスーパーラグビーから除外されるのではとの報道がなされている。グラウンド外での事情を踏まえ、立川は「試合はいつも大事ですけど、次は本当に大事な試合になってくると思います」とライオンズ戦をにらんでいる。

「1年目のすごく苦しい時から知っているつもりですし、なくなってしまうとしたら嫌。継続してやっていけるようにしたいですし、そこには結果も必要です。海外での勝利はプラスポイントになってくると思いますし、ホーム扱いのシンガポールで勝つことの重要性もある」

 先のことは考えない。試合で「パフォーマンス」を発揮することだけに集中する。一時はリーダー格だった立川がかくも簡潔な意志を貫くのは、現体制下で望む結果を得るためだ。ワールドカップ日本大会への意気込みを問われると、こう強調するのだった。

「まだ(実力を)認められてここに来たわけではないと思います。今回のサンウルブズの参加もいつまでかは決まっていないですし、怪我人が戻れば自分の立場もどうなるかわからない。少ない出場時間でもアピールしたいです。みんなそうだと思いますけど、(ワールドカップ日本代表の)最終メンバーに残ることが目標ではなく、そこで勝つことが目標。焦らず、ワールドカップでベスト8入りできるようなパフォーマンスを出せるよう、一日、一日、準備していきたいです」

 宣言通りの必死の「パフォーマンス」を、代表スタッフ、ファン、さらにはスーパーラグビーを統括するSANZAARの関係者に示す。

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