降格話も出てきたイタリア 攻めに攻めたがフランス倒せず欧州6か国対抗22連敗
今年のシックスネーションズでイタリア代表を圧倒したイングランド代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「降格制度の導入を検討すべきだ」と語った。
1883年からヨーロッパのラグビー伝統国によって争われてきた歴史ある大会に、2000年からイタリアが加わり、“シックス・ネーションズ”となった。イタリアは1大会2勝して4位になったシーズンもあったが、2015年のスコットランド戦を最後にこの大会では勝っておらず、イングランドの指揮官は「主催者は、ヨーロッパで最高の6チームが常に参加していることを確認する方法を見つける必要がある」と指摘したのだ。だから、降格・昇格の制度導入を考えるべきだと。
イタリアは、最新の世界ランキングは14位で、ヨーロッパのセカンドグループに属するジョージア(同12位)よりも下だ。ワールドカップではシックスネーションズ勢で唯一、ベスト8入りしたことがない。
厳しい視線が注がれるなか、3月16日、地元ローマのスタディオ・オリンピコで、フランス代表と今季シックスネーションズ最終節を戦った。
この試合で、主将として同大会50試合出場という前人未到の記録を樹立したNO8セルジョ・パリッセを中心に、攻めに攻めたイタリア。勇敢に戦い、観る者を熱くした。しかし、14-25で惜敗。シックスネーションズ22連敗となった。
それでも、意地を見せたのは確かだ。
PGで先制するも逆転されたイタリアは、6-10で迎えた前半23分、敵陣深くでアドバンテージを得、SOトンマーゾ・アランがディフェンス裏にキックし、いち早く反応したCTBマルコ・ザノンのトライチャンスだったが、不運にも蹴られたボールはポストカバーに当たって跳ね返り、得点できなかった。
ラインアウトからゲーム再開となり、今度はモールでインゴールになだれ込んだが、フランスの選手が絡んでグラウンディングを許さない。それでも果敢にトライを目指したが、まもなく落球してチャンスを逃した。
36分にも敵陣深くに入ったが、ラインアウトが乱れた。
その後もフランスの粘り強いディフェンスに阻まれ、6-10で折り返した。
後半早々にPGで1点差に詰めたイタリアだが、フランスは45分(後半5分)、19歳のSOロマン・ヌタマックがランとパスワークでチャンスメイクしてWTBヨアン・ウジェのトライにつながり、点差を広げた。
それでもイタリアは54分、トライへの執念がついに実る。怒涛の連続攻撃でゴールに迫り、SHティト・テバルディがダミーモーションからインゴールに突っ込んだ。3点差とする。
しかし62分、フランスはSOヌタマックがドロップゴールを決め、流れを変えた。
14-20とされたイタリアは、終盤に激しさを増した。フランスは反則が続き、71分にイエローカードが提示された。
数的有利となったイタリア。74分、ゴール前でボールを動かし、CTBザノンがインゴールに飛び込む。しかし、フランスのWTBダミアン・ピノーが落球させ、グラウンディングを許さなかった。
そして78分、フランスは高く蹴り上げられたボールをSOヌタマックが競り勝って確保、オフロードでWTBピノーにつなぎ、背番号14はゴールへ走り切ってイタリアの悲願を砕いたのだった。
イタリアはこの悔しさを、半年後に始まるワールドカップでぶつけたい。プールBで、ニュージーランド、南アフリカという難敵に挑む。