コラム
2019.02.08
【コラム】心の、フィジカル
明治大学 PR吉岡大貴。2年連続の決勝、5年目の結晶。
■迎えた2年連続の決勝。背番号18の吉岡の出番は試合終了間際に訪れた。
冬晴れの八幡山は、笑顔に包まれていた。
2月2日、22年ぶりの大学日本一を果たした明治大ラグビー部の卒部試合が行われた。紫紺と白のジャージを着た4年生が、後輩たちと胸を合わせる最後の機会。スタンドは父兄やファンでぎっしり埋まった。「やっぱりあいつら、格好いいな」。ラグビー部をまぶしそうに見つめるホッケー部のつぶやきが、なぜか誇らしかった。
主務の喜多川俵多がトライを決める。マネージャーの 古岡奈緒は左サイドを駆けた。最後は主将の福田健太。正面のゴールキックの寸前、後輩たちから「外したらおごってくださいよ」とプレッシャーをかけられる。「外したら焼き肉おごるわ」と喜ばせた隙に、キックを決めて大団円。明るくて勝ち気な福田らしい締めくくりだった。
2018年度は春夏秋冬と八幡山に通った。多くは午前7時前からの「朝稽古」取材だった。なぜ早朝に練習するのか。田中澄憲監督は一番の理由に授業を挙げる。「今の学生はきちんと授業に出席しないと単位をもらえない。自分が大学生だった頃より全然きつい」という。
学部の中でラグビー部との両立が最もきついのは農学部らしい。まずキャンパスが生田にあって、八幡山から物理的に遠い。その上、下級生の時は朝から夜まで授業が続き、研究課題もたんまり出るのだという。
PR吉岡大貴は宮崎・日向高出身。高校からラグビーを始め、九州選抜に選ばれるまでに成長したが、花園には3年間届かなかった。「農学部の枠でセレクションを受けないか」と誘われ、「明治みたいな名門にはなかなか行けない」と挑戦を決めた。両親も応援してくれた。
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