ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ【第2節】 ラグマガ編集部ピックアップマッチ スコットランド vs. アイルランド
ヨーロッパ最強の座を争う伝統の「シックス・ネーションズ」が、いよいよ先週末に開幕した。開幕戦でウェールズが前半0-16の劣勢からホームのフランスに逆転勝ちし、優勝候補同士のいきなりの激突となったアイルランド対イングランドはイングランドが世界ランキング2位のアイルランドにアウェーでボーナスポイント付きの勝利を挙げるなど、第1節から見どころ満載の熱戦が繰り広げられている。今節のイチオシカードをピックアップし、試合の見どころを紹介するこのコーナー。今週の注目は、何と言っても今年9月に開幕するラグビーワールドカップで日本と対戦する2国の激突、スコットランド対アイルランドだ<@エディンバラ、2月9日(土)23時15分キックオフ(日本時間)>。
ジャパン必見のライバル前哨戦
昨年のシックス・ネーションズでグランドスラム(全勝優勝)を達成し、ワールドカップでもニュージーランドと並ぶ本命の一角と評されるアイルランドだが、開幕節ではイングランドの渾身のパフォーマンスの前に、ホームのダブリンでまさかの完敗を喫した。強靭なフィジカルを前面に押し出してたたみかけるイングランドの猛烈なプレッシャーの前に開始直後から劣勢を強いられ、最後まで歯車が噛み合わないチグハグな戦いぶりに終始。自慢の堅守を破られるシーンも目立ち、4トライを奪われボーナスポイントまで与える結果となった。このショッキングな敗戦から1週間でどこまで立て直せるかが、今節のポイントとなる。
イングランド戦では最大の焦点だった接点の攻防で劣勢に回り、アタックのテンポが上がらずSOジョナサン・セクストンも効果的な打開策を見出せなかった。得意のハイパント戦術もイングランドの勇敢なバックスリーのフィールディングに対処され、決定的なチャンスを作り出すまでは至らず。鋭く間合いを詰めて勢いがつく前にヒットし、すばやいリロードでスペースを埋め、空中戦に切り替えてきたところをきっちりと処理する――。この日イングランドが示したアイルランド攻略法は、今週対戦するスコットランドはもちろん、ワールドカップで日本が対峙する時も貴重なヒントとなりそうだ。
さらにアイルランドはイングランド戦でLOデヴィン・トナー(足首)、No.8 CJ・スタンダー(顔)、WTBキース・アールズ(腰)が負傷。スコットランド戦では複数のメンバーの入替が予想される。加えて今度はアウェーでの戦いと、開幕前とは一転して厳しい状況に追い込まれた格好だ。もっとも、バックアップにも力のある選手を擁しており、1試合負けただけでこれまで築き上げてきた地力が雪崩を打つように崩れるわけでもない。必勝を期し死に物狂いで臨むアイルランドのプレーぶりは、ワールドカップを見すえる上でこれ以上ない試金石となるだろう。
一方のスコットランドは、地元エディンバラのBTマレーフィールドでイタリアに33-20で勝利し、対照的なスタートを切った。PGで先制を許したものの、前半11分にSOフィン・ラッセルが絶妙なキックパスでWTBブレア・キングホーンのトライを演出すると、20分にもBKの巧みなコンビネーションでキングホーンが大外を抜け出しインゴールへ。12-3で迎えた後半もテリトリーで相手を上回り、46分にラッセルのキックパスに反応したFBスチュアート・ホッグが、53分には縦の連続攻撃で22歳のキングホーンがこの日3本目となるトライを追加。シンビンでひとり少なくなった70分以降に3トライを返され13点差まで詰められたが、余裕を持って逃げ切った。
もっともイタリアは2015年の第3節でスコットランドに勝利して以来、シックス・ネーションズはここまで17連敗中と力的に格下の相手。5トライを挙げたものの、むしろそれ以上にチャンスを逃した場面が多かった印象も強く、ホームゲームだったことを考えれば手放しで喜べるような内容ではなかった。キャプテンのSHグレイグ・レイドローが相変わらずのキャプテンシーでチームを牽引、SOラッセル、FBホッグという北半球屈指の才能あるBKが輝きを放ち、新星WTBキングホーンがブレイクスルーを果たしたのは明るい材料だが、激しいプレッシャーにさらされた時にどこまで質の高いプレーを維持できるかという点では、疑問も残る。
そんな両国の激突で試合の趨勢を左右しそうなのは、それぞれのメンタルの状態だ。アイルランドが満点の気迫で挑むことは容易に想像できるが、絶対に負けられないという意識が悪い方に傾けば、プレッシャーが重い足かせになりかねない。スコットランドは格上の相手に対し臆することなく、ホームの大歓声を追い風にして初戦で勝利した勢いをいかに増幅できるかがカギとなる。
ちなみに両国は、9月22日にワールドカップの初戦で激突する。そのピッチにいいイメージで立つためにここで勝利しておきたいのは当然だろうが、一方で7か月後の再戦をにらみ、あえてすべての手の内は明かさないといったことも考えられる。様々な思惑が交錯するこの一戦。日本のファンにとって必見のゲームとなる。
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
130年以上の歴史と伝統を誇る「シックス・ネーションズ」。ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会の模様を全15試合生中継でお届けする!
【放送日】2/2(土)~3/16(土)
【第2節】
スコットランドvsアイルランド 2/9(土)夜11:00~[WOWOWライブ]
イタリアvsウェールズ 2/9(土)深夜1:30~[WOWOWライブ]
イングランドvsフランス 2/10(日)夜11:50~[WOWOWプライム]
【第3節】
フランスvsスコットランド 2/23(土)夜11:00~[WOWOWライブ]
ウェールズvsイングランド 2/23(土)深夜1:30~[WOWOWライブ]
イタリアvsアイルランド 2/24(日)夜11:50~[WOWOWプライム]
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