各国代表 2019.01.29

【シックス・ネーションズ展望対談】 ジェフ・パーリング×大西将太郎

2月1日(日本時間2月2日)のシックス・ネーションズ開幕を前に、元日本代表の大西将太郎と、シックス・ ネーションズの戦いを肌で知る、日本で唯一の選手ジェフ・パーリングによるスペシャル対談を行った。 イングランド代表LOとして29キャップを持ち、2017年からトップリーグの宗像サニックスブルースでプレーする、探究心旺盛でインテリジェンス溢れる男が、まもなく開幕するシックス・ネーションズを大いに語った。【情報提供:WOWOW】

【シックス・ネーションズ展望対談】 ジェフ・パーリング×大西将太郎

トップリーグ唯一の6カ国対抗経験者、かく語る。

大西 ジェフさんにうかがいます。まず、シックス・ネーションズの魅力とは。

ジェフ 素晴らしい大会だよ。まず、どの試合でも国をあげてのライバル意識が激突する。特に、私の国、イングランドに対してはどの国も、絶対に倒してやろうと向かってくる。本当にすごい大会だ。会場も素晴らしい。パリやカーディフ、ダブリン、ローマなど華やかな都のスタジアムでプレーするのは最高だし、スタジアムも素晴らしい。

大西 シックス・ネーションズはどの会場の、どの試合も常に満員ですよね。何か思い出に残っている出来事はありますか。

ジェフ そうだね、よく覚えているのは初めてカーディフに行ってウェールズと戦ったときだ。ミレニアム・スタジアムの屋根は閉まっていて、ファンの歌声がガンガン反響して、スタジアムはイングランドへの敵意で満ちていた。その中で私たちはボロ負けしたんだ(笑)。 ウェールズのファンはイングランドの負けを熱望していた。サッカーみたいな雰囲気だった。それは多分、イングランド対ウェールズだからだったと思う。それも含めて、ライバル国で試合するのは素晴らしい体験だった。

大西 僕も2007年ワールドカップの時、あの場所でウェールズ戦を経験しました。

ジェフ 屋根は閉まってた?

大西 はい、閉まっていました。すごい歓声でした。

ジェフ そうだろ(笑)。あのスタジアムは町の中心にあるから、 みんな試合の直前まで周りのパブでビールを飲んでいて、そのままスタジアムに来る。だからよけい盛り上がるんだ。最高のスタジアムだ。

大西 僕もそう思います。では今年のシックス・ネーションズに向けて、各国の印象をうかがいます。まず、イングランドが初戦で戦うアイルランドから。

ジェフ アイルランドは今、とても強いよ。まず、イングランドと違って、選手が試合するペースをコントロールできている。彼らはシーズン中、国内リーグの試合がイングランドの選手の半分以下なんだ。だから 代表の試合に集中しやすい。いいコンディションで試合に臨めるんだ。もともとアイルランドはいい選手が多いし、ヘッドコーチのジョー・シュミットもいいし、代表戦に備えていい準備をしている。2019年の日本でのワールドカップでもすごく面白い存在になるだろうね。

大西 ワールドカップで日本はそのアイルランド、スコットランドと同組になります。スコットランドにはどんな印象を持っていますか?

ジェフ スコットランドはここ数年、チームがすごく改善されて、プレーが良くなっている。ただ、それがまだ安定していない。ホームで戦う日本の方が有利だと思う。

大西 実際にジェフさんが対戦して感じた、スコットランドやアイルランドのチームカルチャーは何かありますか?

ジェフ そうだね、まず、スコットランドもアイルランドもウェールズも私たちイングランドが大嫌いなんだ。(スコットランドの)マレーフィールドに行った時は私たちの乗ったバスの前を楽隊が行進してて、 会場入りに30分もかかったんだ。きっと会場入りを遅らせ、ウォームアップの時間を減らそうとしたんだと思うな。 チームカルチャー自体は、チームの中にいた訳じゃないから分からないけど、どのチームも選手たちは基本的にいい人たちだよ。もちろん、皆イングランドには勝ちたいと思っているけどね。

大西 ウェールズは今、世界ランク3位です。

ジェフ ウェールズもいいチームだ。秋のテストマッチでは4戦で全勝してる。前回のワールドカップでは思ったほど活躍できなかったが、ウェールズを過小評価すべきじゃない。大型チームだし、個々に素晴らしい能力を持った選手が多い。ただ彼らは過小評価された方がやりやすいだろう。

大西 2015年ワールドカップではジェフさんのいたイングランドは予選プールでウェールズと対戦しましたね。

ジェフ ひどい試合だったよ。我々は12点リードしていて 残り時間が20分だった。でも 負傷者も多く出て、最終的には負けてしまった。彼らは粘り強かった。自国開催のワールドカップだったし、皆の期待も大きかったから、もっといい試合をしたかったけどね。勝ち試合だっただけに、あれは忘れられない試合だ。

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