国内 2018.10.04

サントリー・小野、実戦復帰。代表復帰待望論へ「ピッチに立つことが最優先」

サントリー・小野、実戦復帰。代表復帰待望論へ「ピッチに立つことが最優先」
日野レッドドルフィンズとの練習試合で元気な姿を披露した小野晃征(撮影:見明亨徳)
 2019年のワールドカップ日本大会に向け、黄色いジャージィをまとって再出発した。
 サントリー所属で日本代表34キャップ保持の小野晃征が9月29日、東京・サントリー府中グラウンドで約3か月ぶりの実戦復帰。日野との練習試合に本職のSOとして先発し、84−0で勝った。
「メディカル、S&Cのおかげで復帰できたことは感謝しています。きょうは選手たちからリスペクトをもらえるようなパフォーマンスをするのが大事だと思っていた。コンペティション(内部競争)は大事。決して自分はセレクターではないですが、沢木さん(敬介監督)のセレクションを難しくすることが自分の役割。そこだけにフォーカスして、これからがんばりたいです」
 国内最高峰のトップリーグの今季公式戦を4つ消化して迎えたこの日、両軍ともこれからレギュラー定着を目指す選手を出場させていた。現在2連覇中のサントリーで主力を張ってきた小野は、今年6月のブランビーズとの国際親善試合で手を負傷して以来のカムバックだった。
「自分(のアピール)だけを中心に考えるのではなく、チームでしっかりがんばる」
 ハーフ線付近で味方がターンオーバーしたボールを蹴ってWTBを走らせたり、敵陣ゴール前右のモールから球を受けると折り返しのパスを交えて防御を破ったり。ハングリーな同僚とハーモニーを奏でて、守っては味方の運動量と相まってシャットアウト。2016年度の優勝時は全試合に先発したコンダクターは、安どの表情でクラブハウスを引き上げた。
「チーム(トップリーグ出場組)はここまで得点は取れていますけど、失点が多かった(直近の2戦は連続で30失点以上)。ディフェンスもがんばるという態度を(この日のメンバーが)見せられたことは良かったと思います」
 身長171センチ、体重81キロの31歳。2015年のワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げるなど、長らく日本代表の司令塔として活躍した。2016年6月を最後に赤と白のジャージィからは離れているが、いまなお日本代表復帰が待たれる。幼少期にラグビー王国のニュージーランドでプレーしたとあり、多国籍軍における素早い連携を実現させそうだ。
 ワールドカップ日本大会まであと1年。当の本人は、まず「ピッチに立つことが最優先」と慎重な構えだ。
「ワールドカップまであと1年を切ったなか、自分は(公式戦の)ピッチに立っていない。トップリーグのレベルで自分のパフォーマンスを出せれば次のレベルにステップアップできるけど、いまはあまり先のことを考えずに自分のパフォーマンスにフォーカスする。チームが勝てば選ばれる選手も増えると思います。自分だけではなく、チームが勝てばいい」
 現在レッドカンファレンスで3勝1敗のチームで優勝の原動力となり、結果的に代表入りにチャレンジできればいい。日本代表ときょうだいチームであるサンウルブズへの加入意思を問われても「このチーム(サントリー)で活躍し…」と、まずはいまの戦いにフォーカスする。
「いまの(代表に)選ばれている選手はパフォーマンスを出している選手。自分もしっかりとパフォーマンスを出せば選ばれると思っています」
 トップリーグでは、1週間の中断期間を経て10月の第1週に第5節がある。サントリーは7日、山梨中銀スタジアムで豊田自動織機とぶつかる。
(文:向 風見也)

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