国内 2018.09.22

サントリー、今季初黒星の翌週は? 新人に代わり今季初先発組の決意に迫る。

サントリー、今季初黒星の翌週は? 新人に代わり今季初先発組の決意に迫る。
サントリーで今季初先発となる中村亮土(左)と森川由起乙
 国内最高峰のトップリーグで3連覇を狙うサントリーは9月14日、東京・秩父宮ラグビー場で神戸製鋼との第3節を20−36で落とした。もっとも就任3シーズン目の沢木敬介監督は、ここで味わった悔しさを「必ずプラスにしていく」。22日は神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場でNECと激突。メンバーを入れ替えながら、プライドを取り戻しにかかる。
「自分たちが何を目指しているか(を見直した)。確かに今年から新しいことも取り組んでいる。ただ、もう一回自分たちの根底にあることにこだわりを持ってやる」
 試合前日、東京・サントリー府中グラウンド。雨のなかでの最終調整を終えると、沢木監督は敗戦後の態度を明かした。追われる立場を意識して臨む今季は戦術・戦略のバリエーション増加に着手も、開幕からの3戦では好機での落球など基本的な領域で苦しんだ。それでも第1、2節は2点差で勝利も、豪華戦力を擁する神戸製鋼には序盤から波にのまれた。沢木監督は潔く続ける。
「いいんじゃないですか。これで強くなる。これで強くなれなかったら、もう、あれですよ、それまでのチームです。今季は」
 復権を誓うNEC戦で今季初先発する1人は、インサイドCTBの中村亮土。神戸製鋼戦のことは「1、2戦ももやもやした状態でやっていた。それ(もやもや)が結果として出た」と捉える。達観している。
「成長できるいいチャンスだと受け止めています。皆、今週月曜の段階で『次の試合に』と切り替え、引きずっている感じはないです。ただ、心のどこかで『二度とああいう試合をしないように』と肝に銘じているように思います」
 大学選手権9連覇中の帝京大の元主将(中村の卒業時は5連覇)で、今年が入社5年目。昨季は終盤戦におけるパワフルなパフォーマンスで、今季のスーパーラグビーでのサンウルブズ入りを成し遂げていた。6月は日本代表でもプレーした。
 今季のサントリーに合流以来、新人の梶村祐介にポジションを譲っている。本意ではなさそうな状況下でも、「切り替えていました。誰と比較するわけではなく、自分が入ったら自分のいいプレーができるようにとフォーカスしていました」。心を乱さなかった。今度のNEC戦でも「特別なことをするんじゃなく、自分が持っている力を出せたらチームの結果にもつながる」とのみ話す。付け加えるなら、自分がボールをもらう前に攻防のシステムを整えるなど無形の力を発揮したいという。
「コミュニケーションを取りながら、周りと一緒にうまくやれるようなプレーをしたいです」
 開幕からルーキーの控えに回っていたのは、入社4年目の左PR、森川由起乙も同じだ。リザーブの位置で、「持ち味である相手を痛めつけるようなタックルでチームに勢いづける。そのいいところを伸ばしつつ、弱みであるスクラムの改善を青木(佑輔)コーチと毎日、しています」。帝京大の後輩でもある堀越康介がHOから左PRに転向したことで、森川はしばらく控えに回ることとなった。
 中村亮と同様、ぶれなかった。
「堀越が1番で使われるということは、それだけの力がある。スクラムの強さは勉強にもなるし、負けていられないという気持ちにもなる。腐ったり、堀越のことを思い続けたりするというより、自分にフォーカスする。そしてその堀越に代わって入った時は、短い時間であってもインパクト、自分なりの良さを出そうしています」
 9月1日に愛知・豊田スタジアムでおこなわれたトヨタ自動車戦では、ビハインドを背負った終盤に登場するや強力なランとスクラムで27−25での逆転勝利をおぜん立てしている。今度のNEC戦では、中村亮と揃って今季初先発。堀越に代わり、背番号1をつける。
 かねて「27〜8人」のスコッドでリーグ戦を戦おうとしていた沢木監督は、「この強度で新人で3試合連続。疲れていると思う」。翌週から日本代表候補合宿に挑む堀越と梶村をベンチから外したのは、休暇の付与が大きな理由だったと話す。もっとも、指揮官は「コンペティション(競争)も楽しみ」。調子を上げつつある中堅戦士の動きにも、期待をかけている。
(文:向 風見也)

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