国内 2018.09.21

山本紘史は「どのジャージィを着ていても東芝とわかるように」と理想を追う。

山本紘史は「どのジャージィを着ていても東芝とわかるように」と理想を追う。
第3節のパナソニック戦で力強く前へ進む東芝の山本紘史(撮影:松本かおり)
 国内最高峰ラグビーのトップリーグで9季ぶり6度目の優勝を狙う東芝は今季、ホワイトカンファレンスでここまで1勝2敗と負け越している。3戦連続で背番号7をつけた山本紘史は、「いかに自分たちが東芝らしいプレーをするかということを考えて過ごしていきたいです」。入社10年目のクラブのポテンシャルを信じるからこそ、もっと質を上げられると言いたげだった。
 身長183センチ、体重100キロの32歳は、13試合出場した前年度に続き今季も主戦級を張る。相手防御の揃った場所へあえて駆け込み、パスをもらうやゲインラインを破る。守る場面では自分と同じようなことをする相手に真っ向から挑む。今季の東芝における主要先発バックロー(FL、NO8)では唯一の代表ノンキャップ戦士だが、痛みの伴うプレーの連続で仲間の信頼を勝ち取っている。
 もっとも当の本人は、「まぁ、それが仕事なんで」と淡々としている。本来チームから課されたハードルを越えられなかったからと、反省点が口をつく。
「本当は、タックルした後のファイト、ジャッカルというのがバックローの仕事だったんですけど。いまのところ、まだ課題が残っているなという感じですね」
 9月15日の第3節では、昨季準優勝のパナソニックから一時リードを奪いながらも24−31と敗れた。連続攻撃を向こうの堅守に阻まれ、好機でのラインアウトをミス。FWの一員だった山本紘も悔いが残ったという。
「チャンスのところで取り切れないのが課題なので。ゴール前でもラインアウトでミスしているようでは、だめです。ラインアウトからモールでトライを取るのが東芝のスタイルで、今日はそれをやれる雰囲気があったのですが、そこでミスしていては…」
 9月22日、秩父宮での第4節でここまで未勝利のコカ・コーラに挑む。優勝への挑戦権は各カンファレンス上位4強にしか与えられないなか、東芝はまず白星をつかみたいところか。パナソニック戦後の山本紘は、勝利を目指すなかで自分たちの伝統的戦法を希求したいと話した。
「自分的には満足してないです。体力も足りないし、やっぱりジャッカルをする、ブレイクダウンでファイトするというのがこれからの課題です。(チームでも)やっぱり、ブレイクダウンを前に動かせるように。ボールが前に動いている状態を常に作って、チャンスでは取り切れるようにしたい。誰が見ても、どのジャージィを着ていても東芝のプレーだとわかるようなプレーをしないといけないなと、常に思っています」
 今度も背番号7をつけ、攻防の最前線に飛び込む。
(文:向 風見也)

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