海外 2018.04.07

サンウルブズ、ワラターズに50失点で6連敗。流「苦しい時こそ団結して…」

サンウルブズ、ワラターズに50失点で6連敗。流「苦しい時こそ団結して…」
NO8で先発し奮闘したサンウルブズの姫野和樹(撮影:?塩隆)
 試合がなかったバイウィーク中にリフレッシュし、今季初勝利を目指して再びスーパーラグビーの戦いに戻った日本チームのサンウルブズだが、4月7日に東京・秩父宮ラグビー場で迎えた第8節は、オーストラリア・カンファレンス2位のワラターズに29−50で屈した。
 「全員このリーグがタフなことはわかっている。今日、選手たちは全身全霊でプレーした」とジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは試合後に語ったが、これで6連敗となり、サンウルブズに向けられる目は厳しくなっている。
 観客数は9,707人。今季の秩父宮開催ゲームで初めて1万人を切った。
 勝つためには最初の20分間が大事と話していたサンウルブズだが、先制したのはワラターズだった。
 前半5分、身長195センチ、体重123キロのWTBタンゲレ・ナイヤラヴォロが左サイドを突破して仲間につなぎ、SHジェイク・ゴードンがトライを挙げた。
 サンウルブズは10分、ゴール前左のスクラムから攻めてCTBマイケル・リトルがゴールラインを割り、同点に追いついたものの、ワラターズは14分にPGで勝ち越し。
 強い風の影響もあって、リスタートのキックオフをサンウルブズのWTBレメキ ロマノ ラヴァが失敗すると、中央でのスクラムから再開したワラターズは、SHゴードンの強気のランからチャンスをつくり、テンポよく回して、CTBカーティス・ロナが緩い防御網を抜けてゴールに持ち込んだ。
 18分、サンウルブズはディフェンス裏へのキックからチャンスになりかけたが、パスを乱して相手にボールを奪われ、つながれ、痛い連続失点となった。
 悪いムードを変えたいサンウルブズは22分、オールブラックスの名CTBだったウォルター・リトルの息子、マイケル・リトルが自陣深くから抜けて大きくゲインし、1か月ぶりに戦列復帰したLOサム・ワイクスにつないでトライ。27分にはPG成功で17−24とした。
 しかしワラターズは34分、ゴール前中央のスクラムから持ち出したSHゴードンが間隙を突いてトライを決める。ハーフタイム前にも敵陣深くに攻め込むと、ゴール前でCTBカートリー・ビールからオフロードパスをもらったFBブライス・ヘガティーがフィニッシャーとなり、21点差がついて折り返しとなった。
 4年ぶりの優勝を狙うワラターズは44分(後半4分)、ラインアウトからモールで押し込みリードを拡大。
 17−43とされたサンウルブズは52分、相手の落球からボールを動かしてチャンスとなり、自陣から、WTBセミシ・マシレワが空いたスペースを抜けてゴールへ走り切り、秩父宮を沸かせた。
 活気を取り戻したサンウルブズは63分、かつてワラターズに在籍したFB松島幸太朗が抜けてチャンスメイクし、つないで、FL徳永祥尭がゴールラインを越えたが、ワラターズは懸命に守ってグラウンディングを許さない。
 しかし、攻め続けるサンウルブズに対してワラターズは反則を犯し、65分、主将のFLマイケル・フーパーにイエローカードが出て10分間の退出となった。
 数的有利になったサンウルブズは直後、ゴール前中央のスクラムからSH流大が仕掛け、NO8姫野和樹に渡してトライを獲得、29−43と14点差に詰めた。
 しかしワラターズは72分、CTBビールらが好走して攻め上がり、テンポよくつないで、左サイドにいた巨漢WTBナイヤラヴォロがタックラーをはじき飛ばしてインゴールに押さえ、勝利を引き寄せた。
 ワラターズのフーパー主将は試合後、サンウルブズのプレッシャーを受けて反則が多かったことを反省し、対戦して印象に残った選手を訊かれると、「松島はFBとして脅威だった。マイケル・リトルはボールキャリアーとしても働きかける選手としても素晴らしい」と称えた。
 一方、敗れたサンウルブズのジョセフ ヘッドコーチは、相手に7トライを奪われたディフェンスを最重要課題と認め、「ターンオーバーされた回数が14回、トランジションで苦戦した。これだけターンオーバーされると苦戦する。1対1のタックルの精度を上げることはもちろんだが、裏に出られたときに戻ってセットするときFWがラックに寄り過ぎて、ディフェンスの幅がとれなかった」と振り返る。
 NO8で先発した姫野も、「アタックはうまくいってるが、ディフェンスで自分たちの首を絞めてる。(課題は)個人のタックルの質を上げること。いくらいいディフェンスプランがあっても、そこを上げないと…」とコメント。
 また、「勝てないとチーム内の信頼関係が難しいのでは?」という問いにキャプテンの流は、「苦しい時こそ選手が団結して、次のタスクに向けてやることをやらなければ。チーフス戦のネガティブなところから目をそらさずしっかり掘り下げた。どうすれば勝てるかを明確にして、いい準備ができた感触はある。結果には表れなかったが、続けていきたい。来週も多くのファンの前で勝てるように示したい」と次戦を見据えた。
 サンウルブズは一週間後に秩父宮で、昨季倒したブルーズ(ニュージーランド)と対戦する。

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敗れたが、サンウルブズのマイケル・リトル(右)はこの試合でも好走を連発(撮影:?塩隆)

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ダイビングトライを決めるセミシ・マシレワ(撮影:?塩隆)

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