海外 2018.01.18

立川理道も絶賛。グラント・ハッティング、ハートと高さで狼&日本代表救う?

立川理道も絶賛。グラント・ハッティング、ハートと高さで狼&日本代表救う?
サンウルブズに初参加するハッティング。スーパーラグビー55試合出場の経験を持つ
(Photo: Getty Images)
 いつから身長が伸びたのですか?
 周りを囲む記者団の1人に聞かれた。「具体的な数字は覚えていませんが、6歳の頃は大きく、細かったと思います」と、笑みを浮かべる。
 グラント・ハッティング。自分の背丈と同じくらいの大きさのスポンサーボードの前で、日本代表入りに意欲を燃やした。
「いろいろな思いをめぐらしたのは事実ですが、日本の人々が私の心を奪いました。日本代表になる能力を私が備えているのであれば、ぜひプレーしたいです」
 1月16日。国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズの一部選手が、メディカルチェックなどのため都内ホテルに集まっていた。新加入のハッティングが共同取材に応じる。
「日本を代表するスーパーラグビーのチームで戦えることを誇りに思います。どんなチームであれベストを尽くす。ジャージィのために戦う。もしそれが日本代表なら、日本代表のためにベストを尽くす」
 身長201センチ、体重115キロ。南アフリカはジョハネスバーグ出身の27歳。母国でもライオンズ(2012年)、ブルズ(2013〜16年)の一員としてスーパーラグビーへ参戦したことがある。
 ワールドカップイングランド大会のあった2015年に来日し、国内トップリーグのクボタでプレーしてきた。
 初年度は序盤戦で負った怪我から復帰すると、当時開幕4連敗を喫するなど苦しんでいたチームで空中戦を引っ張る。2シーズン目はLOやFLとして13試合に出て、ラン、タックル、肉弾戦での圧力などで存在感を発揮した。チームの主将で日本代表の立川理道もこう話していた。
「去年(2015年)は怪我を持ちながらやっていましたが、今年(2016年)はすごく調子がいい。スーパーラグビー中に手術をして、うまくリカバリーしてくれた」
 今季からサンウルブズの指揮官も兼ねる日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、かねて長身LOの不足に頭を抱えていたようだ。
 昨季からサンウルブズにいるサム・ワイクスらを頭に浮かべてか、「サンウルブズにいる選手が代表資格を得れば(身長の問題は)解決される」といった旨の発言をしたこともあった。確かに身長197センチのワイクスは、2017年度の国内シーズン終了後に国内居住3年以上という代表資格取得要件をクリアできそうだ。
 ハッティングはその権利を、今年11月に得ることとなりそうだ。「どんなチームであれ、そのチームのジャージィのためにベストを尽くす。もしそれが日本代表なら、日本代表のジャージィのためにベストを尽くす」とし、こう続けた。
「日本に移住する際は、一緒に来た妻もすぐに落ちつくことができました。このことからも、日本が好きになりました。言葉は非常に難しかったのですが、クボタの皆が教えてくれました。汚い言葉も多く、役には立ちませんが!」
 サンウルブズ参戦3シーズン目を迎える立川は、同僚のハッティングについて「身体能力は日本人にはないものがある」とし、こんな思いも口にした。
「ラインアウトの部分は(サイズのある)外国人に頼らないといけない部分もたくさんあると思うんですけど、彼ら(ハッティングやワイクスのことか)はサンウルブズのためという気持ちでやってくれるので、感謝しています。グラントはムードメーカーというか、気さくにしゃべる。日本とのつながりを強く持とうとする選手です。ここへ来たばかりの時から日本人チームメイトとご飯に行くようなことを、積極的にやれる。サンウルブズでも、チームをひとつにしようというリーダーシップも取れると思う。そこにも期待しています」
 談話にジョークを交えるハッティングだが、日本のチームになじむ方法を聞かれると「南アフリカにいる時と同じです。そのチームに慣れ、そのチームのためにベストを尽くす」。問答無用の高さと帰属意識の強さで、まずはサンウルブズを前に進める。
(文:向 風見也)

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