セブンズ
2017.09.30
サクラセブンズを牽引する存在に。ライチェル、ハタチの充実。
1997年9月18日生まれ。161?、71?。(撮影/松本かおり)
ギューッと引き締まったように見えた。
「そうなんです。体重は変わらないけど、中身が変わりました」
バティヴァカロロ ライチェル 海遙(みよ)は夕暮れの仁川で、そう話した。
9月23日、24日に開催された2017アジアラグビー・セブンズシリーズの第2ラウンド、韓国大会。来夏おこなわれるワールドカップ・セブンズの予選を兼ねるシリーズで好スタートを切ったサクラセブンズの中で、効果的なランを何度も見せた。
2日間、6試合で奪ったトライは5つ。それだけでなく、何度も好機を作った。
「自分たちが3か月やってきたことを出す場。そう思ってプレーしました。走ることばかりの日々を過ごしてきて、6試合走り切れたと思います」
苛酷な日々を経て、余計なものは削ぎ落とされた。そして筋肉の量が増えた。
「(世界と戦う)ベースができたと思う」と自信を口にする。今大会、出場した6試合のうち5試合でフル出場。手応えを感じている。
フィジー人の父・アピサイさんと母・香(かおり)さんの間に生まれた。
ラグビーマンの父の影響もあり、戸田ラグビースクール ダンディライオンズで楕円球を追い始めたのは4歳のとき。アカデミーやユース代表選手に選ばれながら成長し、板橋有徳高校3年時には15人制、セブンズの両代表に選出された。
高校卒業後はアルカス熊谷に入部し、現在は立正大学に学ぶ(地球環境科2年)。兄・アピサイ拓海は大東大ラグビーの3年生、妹・アテザ優海は都立石神井高校ラグビー部3年とラグビーファミリーの中で育ち、9月18日に20歳になったばかり。
「ただ、(サクラセブンズには)高校生もいるので、もう若手とは言っていられない。2020年(の五輪)に向けて自分たちの年代が引っ張っていけたら」
経験を重ね、中核としての自覚も芽生えてきた。
韓国大会では本来のアタック力を見せつつ、柔軟なところも見せた。
「前に出るのが自分の武器であり、強みということに変わりはないので仕掛けていく意識は変わりませんが、すべてがそうではなく、周囲を活かしながら自分も出る。そんなことも考えました」
強さ、勢いはそのまま、大人のプレーへのモデルチェンジを図る。運動量を武器に、立ってボールを動かすチームが勝つには、それが必要と考えるからだ。
もっともっと進化を続けたい。肉体的にも、精神面でも。
「2020年はすぐに来てしまう。そう思っています。だから、いま必要なこと、いま何が大事か。それらを考えながら、毎日を過ごしていきたいですね。リオ五輪を経験した方たちからは、試合の流れが悪いときの対処法やスイッチの切り替えなど、学ぶことが多いように感じています。自分も、そういうことをやれるようにしないと」
絶対に、23歳の夏を人生最高の時間にする。