国内 2017.06.25

ドコモ新人の韓国代表WTB、デビューも課題が浮き彫り

ドコモ新人の韓国代表WTB、デビューも課題が浮き彫り
NTTドコモ新加入のWTB張成民(左)とNTTコムの新人LO金嶺志(撮影:見明亨徳)
 NTTコミュニケーションズシャイニングアークスと、今季トップリーグ(TL)に復帰したNTTドコモレッドハリケーンズの“NTTダービー”練習試合が6月24日、NTT千葉総合運動場グランドでおこなわれ、NTTコムが43−19(前半14−19)と後半に逆転し、ライバルを退けた。
 この試合、後半からドコモに今季新加入したWTB張成民(チャン・ソンミン、高麗大→韓国軍体育部隊/尚武)がデビューした。当初はCTBに入る予定だったが本職の右WTBで登場。
 前半はドコモが40分の逆転トライで19−14とリードしていた。
 後半に入るとコムが3分に逆転し、5分にはリスタートのボールをつなぎノーホイッスルトライでリードを広げる。コムの攻めにドコモはディフェンスの時間が続く。張もディフェンスに行くが周囲とのコミュニケーションがまだきちんとできず、味方の指示であわててポジションを変更することが目立った。
 それでもボールを持つと、日本代表との試合でも見せた鋭いステップで前へ運んだ。
 見せ場は17分に訪れた。
 コム左中間ゴール前でコムが反則、5メートルの位置で張がボールをタップしインゴールへ置いたかに見えた。しかし、張のダブルモーションと判定され初トライは消えた。
 ややふっくらした張。チームの公式ウェブサイトでは186センチ、95キロとなっているが、体重は109キロある。来日時よりもウエイトトレーニングや練習で5キロ絞ったが、まだまだベストコンディションではない。
「アタック、ディフェンスともチームメートとのコミュニケーションができないので早く身につけたい。日本のチームはボールを展開するスピードが速く、対応しないといけない」と課題は理解している。
 後半30分には前へ出た張の裏側へコムがキック、ドコモゴール前で追いかけた張とチームメートが交錯。残されたボールはコムFBがトライへつなげた。
 言葉の問題は早めに解決するだろう。
 張を勧誘したドコモのリクルーターは大阪朝鮮高前監督だった呉英吉氏(オ・ヨンギル)。呉さんは「日本の選手はストレートランでアタックする。張は、慣れていないので戸惑っている。私は日本のお父さん役で日本語も教えているけど関西弁になってしまう」。
 さらにドコモには韓国代表LOの先輩、朴淳彩(パク・スンチェ)がいる。
「朴先輩からは日本チームの特徴を教えてもらっています」(張)。
 また新人にも大阪朝鮮高OBのPR趙隆泰(チョ・リュンテ)やFL李智栄(リ・チヨン)もいるので言葉のサポートは恵まれている。
「日本のよい環境で成長しスピードある走りを見せます」(張)
 コム新人もTLレベルの初試合を体験した。
 LO金嶺志(キム・リョンジ)は前日、下部リーグ・トップイースト所属のヤクルトレビンズとの試合に前後半出場したばかり。ドコモ戦では前半30分すぎにピッチへ。
 帝京大の不動のLOとして大学選手権8連覇に貢献した金。「コンタクト、タックルの向上を目指している」との言葉通り激しいファイトを繰り返した。「TLレベルの試合、相手も強かった。しかし大学時代からTLに勝つための練習をしてきたので、コムのレベルにはついていけています」。
 FW2列のチーム内競争も厳しいが「勝って試合に出る」と言葉に出す自信がある。
 金は大学選手権優勝を遂げた時は別のTLチームへ入社予定だった。しかし、家族との話し合いなどを経てコム入りへ変更した。だからこそ、最後まで待ってくれたチームのために戦っていく。
(文:見明亨徳)

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ドコモ新加入のWTB張成民。コミュニケーション力を身につけたい(撮影:見明亨徳)

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「チーム内競争に勝ち、試合に出る」とNTTコムの新人LO金嶺志(撮影:見明亨徳)

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