国内 2017.01.26

ジェイミーさんは歯でビールを開けた! サンゴリアスLOウィーラーの自然体。

ジェイミーさんは歯でビールを開けた! サンゴリアスLOウィーラーの自然体。
陽気な性格でハードなプレー。優勝に大きく貢献した。(撮影/松本かおり)
 靴のサイズは31?。200?、114?の体躯でパンチあるプレーを連発する。新加入のLO、ジョー・ウィーラーのサントリー躍進への貢献度は大きかった。それは、ともにプレーした人、観る人の一致した意見だ。
 トップリーグを制し、今週末の日本選手権決勝で2冠を達成したいサンゴリアス。特にセットプレーの安定を支える巨漢LOはニュージーランド生まれ、マオリの血を引くナイスガイだ。
 ビッグネームであれ、異国の地にやって来て初年度から結果を残すことは難しいけれど、ウィーラーは適応した。陽気な性格。自然体で、すぐにチームに溶け込んだのが大きかった。
「ラグビーをやることは自分の仕事でもあり、ホビーでもある」と話す好漢は、「チーム自体がいいシーズンを送れたことが自分のパフォーマンスにもつながっている」と、日本ラグビー初年度の充実を口にした。
「ラインアウトでのコーラ−としての責任や、クリーンアウトもするし、ボールキャリーも重要。ジョージ(スミス)やヘンディー(ツイ)とのコンビネーションもあり、FWプレーヤーの一人としてうまくやれたとは思っています。最初のうちは言葉の壁があったり、ボール・イン・プレーの時間が長い日本のラグビーに戸惑ったこともありましたが、英語も日本語も話す晃征(小野)らの存在もあってうまくやれるようになっていった。サンゴリアスの攻撃的なところは(自分が在籍している)ハイランダーズに似ていますから、それもよかった」
 パートナーもともに来日している。ラグビーに集中できる環境を提供してくれたクラブへの感謝の気持ちも忘れない。
 トップリーグのベストフィフティーンのひとりにも選ばれた巨漢はラグビー王国の南島、クライストチャーチで生まれ、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(以下、HC)の出身地、ブレナムで育った。
 マルボロ・ボーイズ・カレッジでラグビーの才能を伸ばし、21歳のときに同国国内選手権のタスマン代表に選ばれる。その後スーパーラグビーのクルセーダーズと契約し、2013年からハイランダーズに移籍して大きく飛躍。2015年シーズンには同チームで優勝の感激を味わい、今季も日本でのシーズンを終えればハイランダーズに加わる。「サンゴリアスとハイランダーズを行き来してラグビーを存分に楽しむ生活を長く続けたい」と話す29歳は、2冠を手にして気持ち良く母国に向かいたいと強く願っている。
 マオリ・オールブラックスーへの選出はあるもののオールブラックスの経験はない。3年居住をクリアしたなら日本代表にもなれるウィーラーは、ジャパンの指揮官を務めるジョセフHCとの縁を、「いろんなところで接点があるんだ」と言った。
 ハイランダーズの監督と中心選手としての関係は誰もが知っている。
「そのずっと前から接点がありました。最初は高校の時だったと思います。ジェイミーさんが、まだウェリントンのコーチをしているときでした。それから、いろんなところで会った。僕の以前の彼女の家と彼の別荘が道を挟んで向かい側にありました。それで、そのあたりのコミュニティーのバレーボール大会で会ったこともある。そのときだったかな、ジェイミーさんがビールの栓を歯で開けたことをよく覚えています。格好良かった」
 プレミアムモルツは美味しいよね、と目尻を下げた。ハイランダーズの地元ダニーデンで愛されるビール、スパイツと同じぐらい好きだ。
 日本のシーズンを終えると、すぐにスーパーラグビーへ向かう。
「ブレイク(休息期間)なしでラグビーを続けるのは今回が初めてだから自分にとってもチャレンジ」と語るウィーラーは、今季のサンゴリアスの飛躍を「コーチングチームとマネージメントの人たち、そして選手たちが同じ絵を見て、同じ方向に進めているからだと思う」と話す。
「だから信頼関係があるし、やるべきことが明確なんです」
 その強さをシーズン最後の試合でも証明したい。そして、プレミアムモルツで祝杯だ。

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