国内 2017.01.20

パナソニック・布巻峻介、21日はヤマハへのリベンジマッチへ。

パナソニック・布巻峻介、21日はヤマハへのリベンジマッチへ。
身体を激しくぶつけるパナソニックのFL布巻峻介(撮影:松本かおり)
 今度も、若さと落ち着きを兼ね備えたリーダーが先陣を切る。
 国内最高峰のトップリーグ(TL)で今季3位だった前王者のパナソニックは、1月21日、シーズンを締めくくる日本選手権の準決勝に挑む(大阪・東大阪市花園ラグビー場)。ゲーム主将を務める布巻峻介は、加入2年目の24歳。日本代表の堀江翔太が主将を務めるなか、今季のTLでは終盤の4試合で重責を担ってきた。
 その役割を務めた公式戦後の会見時、こう話したことがある。
「チームを盛り上げていこうというのは心がけましたけど、あまり、変わったことはしていないです」
 身長178センチ、体重96キロのFLは、飛躍のシーズンを終えようとしている。
 今季は定位置を争う西原忠佑が故障(21日に復帰予定)したことなどを受け、開幕から12試合に先発した。開幕前のこの決意を、身体で示した格好だ。
「ロビーさん(ディーンズ監督)が皆に対して言うのは『チームのためになる何かをしよう』ということ。僕はポジション的にも、その『何か』の数を増やしていきたい。ディフェンスは僕の強みだと思っている。そこで(相手を)圧倒していきたい」
 初の日本代表入りも果たした。11月の代表ツアーに参加時も、持ち味のタックル、ジャッカル(密集戦で相手の球を奪うプレー)をアピール。3キャップ(国際真剣勝負への出場数)を手にした。
 特に19日、カーディフ・プリンシパリティスタジアム(ミレニアムスタジアム)での印象は鮮烈だった。
 スタンドに約7万人のファンが詰めかけるなか、ジャパンは欧州6強の一角であるウェールズ代表と激突する。背番号7をつけた布巻は、「自分の仕事をある程度絞って臨んだ。タックルならある程度通用することが(事前に)見えていたので、タックルへ行きやすいポジションにセットする…」。黒子役を全うした(●30−33)。
 帰国後の本人は「(気持ちを国内の戦いに)切り替えたので、記憶も曖昧ですけど…」としながら、こう振り返っていたものだ。
「ラグビー的にもそうですが、人生的にもプラスになったことが多かったです。素晴らしいスタジアムで試合をしたこともそうですし、あのチームで新しく仲間になった人もいたり…。(初めて代表に入った自分を)こんなに普通に受け入れてくれるんだ、と。もちろん相手の気持ちがどうかはわからないですけど、僕としてはすんなり溶け込めた。いい人たちばかりだったな、と」
 東福岡高2年時に7人制日本代表の練習生となるなど、10代の頃から将来を期待されていた。周囲の代表待望論を「それを誰よりも望んでいたのは僕」とし、引き続き世界を見据える。
 2月からは、国際リーグのスーパーラグビーへ参戦。日本チームのサンウルブズに加わったのだ。12月に発表された同チームのスコッドにその名はなかったが、「前向きに検討をしていて…」。1月20日、追加招集が発表された。
 その前にまず、国内シーズンで有終の美を飾りたい。いまは頼れる新戦力とともに、決勝進出を狙う。
 12月に合流したデービッド・ポーコックは、布巻と似た役割をオーストラリア代表で担ってきた28歳の狙撃手。布巻は「プレーもそうですけど、いつも仲間に声をかけてくれるところも見習いたい」と、名手の振る舞いに刺激を受けている。
 日本選手権準決勝で対戦するヤマハには、今季のTL開幕節で敗れている。2016年8月26日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれたこの一戦で、21−24と涙をのんでいた。
 観る側にとって、パナソニックのヤマハへのリベンジマッチとも受け取れる大一番。悠然かつ激しく、チームを引っ張る。
(文:向 風見也)

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