国内
2016.12.10
立川理道主将が終了間際に劇的な決勝トライ! クボタが4勝目。
昨年は苦杯をなめたが、一歩一歩前進している印象の強いリコーブラックラムズとクボタスピアーズが秩父宮で対戦。いつも競る試合の多い両チームの激突だが、この日も最後までスリリングな展開となり、クボタが終了間際の逆転トライで21−18として勝ち点4を手にした。
序盤はリコーがSOタマティ・エリソンの好リードから敵陣に攻め込むが、クボタは相手連続攻撃にブレイクダウン勝負で優る。攻めても、攻めてもターンオーバーで戻される展開にリコーはミスも重なった。リコーのLO馬渕武史主将は「(ブレイクダウンで)2人目が遅れました。サポートの差が出た。そこでリズムが作れなかった」と振り返ったが、クボタHO立川直道も「クボタとして2人目は意識している部分。11月の中断期間でより明確にした点です。相手は強いランナーがいるので、そこはより大切になってくる」と話す。
前半21分にはライン参加したルーキーのFB近藤英人が持ち味を活かした走りでトライを挙げると、33分にはWTBパトリック・オズボーンがトライを追加して14−3とリードを広げた。それでもリコーはあわてることなく攻め返し、38分には日本代表に初招集されたばかりのNO8松橋周平が3人のタックラーを振り落とすような力強い走りでトライを返す。開幕前から「ルーキー・オブ・ザ・イヤーを取りたい」と話しているが、それを引き寄せるような豪快なトライで8−14として前半を終えた。
後半はブレイクダウンでのファイトが過熱する。18分にリコーがFWのモールから途中出場のLOロトアヘア ポヒヴァ大和が中央にトライを挙げて逆転すると、22分にはFB高平拓弥がPGを追加して18−14とリード。終盤はキックが少なくなり、ボール争奪戦が過熱する。
37分、敵陣22メートル付近でのラインアウトでオーバーボールからFLヤコ・クリエルがクリーンキャッチして前に出る。準備したサインプレーだったが、立川理道主将は「やめた方がいいと言ったのですが、FWが行けると。あれがポイントでした」と振り返った。このボールをクボタはつなぐ。後半34分からSOに入っていた立川は「リコーのディフェンスは強かったので、順目→順目では難しい。相手のスキを見つけるために、素早く判断して攻めるだけだった」と言うように、最後は自らスペースをこじ開けて決勝トライ。
「前半戦はトップリーグで一番トライ数の少ないチームで、保持率は一番高かった。そこを11月のウインドウマンスで改善してきました。つまり、保持したボールをどう攻めるか。それが後半戦に生きてきた」とフラン・ルディケ ヘッドコーチ。
「(前半戦を終えて)このままじゃだめだと思っていた部分をクリアにしてきました。シンプルですが、一人ひとりが頑張り、素早く反応する。そういう練習がチームを上向かせてくれた」と話すのは前主将のHO立川直。南アフリカ代表でもファイターとしてファンの多いFLヤコ・クリエル、スーパーラグビーで決定力を見せつけたWTBオズボーン。新戦力の長所をチームが理解して、試合で活きるようになってきた。それもすべてグラウンドでの練習が基盤にある。トップ4には届かないが、来季につながると信じて、戦う。
(取材:福田達)