海外 2016.11.11

レジェンドが語るTOP14の魅力。〜早稲田ラグビー蹴球部山下監督〜

レジェンドが語るTOP14の魅力。〜早稲田ラグビー蹴球部山下監督〜
早稲田大学ラグビー蹴球部山下大悟監督
カッコイイ。発信力がある。ボールをもらう前の動き。選手の起用法。
フランスラグビーから学ぶものは本当に多い。
 今季から早稲田大学ラグビー蹴球部の指揮を執っている山下大悟新監督は、2002年度に早大の主将として大学選手権で13年ぶりの優勝を達成した後、トップリーグのサントリー、NTTコミュニケーションズなどで活躍。その間、サントリー時代の2007年にはフランスワールドカップの時期に合わせてサントリーでフランスに遠征するなど、フランスのラグビー、海外のラグビーを注視してきたという。早大では五郎丸歩選手の5年先輩にあたり、同門として、またトップリーグのライバルとして、後輩の活躍を見つめてきた。若き指揮官にとっての、フランスラグビーの魅力とは。
――山下監督がフランスラグビーに興味を持ったのはいつ頃からですか。
 僕のフランスラグビーへの最初の印象は、1999年ワールドカップの準決勝で、フランスがニュージーランドに勝った試合です。あの時のスタンドオフのクリストフ・ラメゾンという選手が大好きでした。冷静で、効果的なドロップゴールも決めて。僕は当時大学1年でしたが、練習でラメゾンのプレーを真似ていた記憶があります。
それ以来、フランスのラグビー、いわゆるシャンパンラグビーに興味を持って、いろんな試合を見るようになりました。当時のハイネケンカップ(現ヨーロピアンチャンピオンズカップ)をよく見ましたね。その頃はトゥールーズが強くて、フレデリック・ミシャラク(元フランス代表SH/SO、現リヨン)とか、何というか、カッコイイじゃないですか。CTBのヤニック・ジョジオン(元フランス代表)とか、WTBのヴァンサン・クレール(元フランス代表、現RCトゥーロン)とかのプレーをよく見ていましたね。
――実際にフランスラグビーと関わった経験は。
 2007年のフランスワールドカップの時に、サントリーでフランスツアーに行って、TOP14のチームと試合をしました。相手はブルゴワンとオーシュという2チームでした。そのときの感想は、シャンパンラグビーというイメージじゃなく、ものすごくタイトな、コンタクトの激しいゲームをしてくるなという感じでした。それまで、スーパーラグビーやITMカップのチームと試合や練習をした経験はあったけれど、フランスのチームはそれよりもコンタクトがめちゃめちゃ強かったという記憶があります。そのときは、日本対フィジーの試合があったトゥールーズに何日か滞在したんですが、町を歩いてもラグビー一色。ワールドカップの期間中だったけど、町を挙げてトゥールーズを応援しているのがよく分かりました。ハンバーガーショップに「ミシャラクバーガー」というメニューがありましたね。
――フランスのラグビーから何か技術的なヒントなどを得ることはありましたか。
 FW(フォワード)とBK(バックス)が分かれているなという印象を持ちました。FWはセットプレーを中心にタイトなプレーを磨く。BKは広く立って、スペースにボールを繋ぐ。ラックを作ってフェイズを重ねるよりも、オフロードパス(タックルを受けながら放つパス)でつないだり、ターンして後ろからくる味方にパスしたり、フランス代表というよりもトゥールーズが得意にしていたプレーが参考になりましたね。BKのスペーシングというか、ボールをもらう前の動きでスペースを作って、ボールをもらったときには初速で相手に勝つとか。個人的には、ボールをもらう位置が勉強になりました。僕自身、社会人になってからは、自分の身体能力だけじゃなく、ボールのもらい方も含めて勝負しなきゃと思うようになりましたから。
――フランスラグビーは山下監督に大きな影響を与えているようですね。
 好きな選手もいっぱいいましたから。WTBのセドリック・エマンス(元フランス代表)も好きだったな。
 フランスはリーグの特色として、町に根ざしていると思うんです。それはたとえば、チームジャージのデザインにも現れている。今年の早大の新しいジャージのデザインも、実はフランスの影響なんです。僕が監督になって、ジャージのデザインをどうしようかとなって、メッセージ性のあるものにしたいなと考えたとき、フランスのTOP14のような華やかなものにしたいと思って、デザイナーの方にスタッド・フランセのセカンドジャージのデザインを見せたんです。スタッド・フランセは、たぶん世界で初めて、もろピンクの斬新なジャージを採用したり、ジャージのデザインにメッセージ性、遊び心があるんです。早大ラグビー部も、ミッションのひとつに「社会に夢と希望、感動を」というテーマを掲げているし、自分たちの見せ方を考える必要がある。特にセカンドジャージのデザインにはそういう思いをこめて、デザイナーさんにも『もっと遊んで』とお願いして作りました。
――現在のラグビーフランスリーグTOP14はどのようにご覧になっていますか。
 注目しているのはマネジメント面ですね。どのチームも、選手をローテーションで回しているという印象があります。やっぱり26節という長いシーズンを睨んで選手を使っていくマネジメントをしているんでしょうね。
 プレー面ではスクラムです。今年の早稲田が一番の武器にしているプレーですから、ウチのFWコーチはもちろんですが、僕もスクラムばかり見ています。スクラムを勉強させるためにFW第1列の選手をフランスに留学させたいくらいです(笑)。
――そのフランスに、山下監督の後輩の五郎丸選手がチャレンジしています。
 昨年のワールドカップでラグビーの歴史に残るような偉業を達成したレジェンドが、さらなる挑戦をしている。自分が達成したことに満足するんじゃなく、さらなる高みを目指す。この決断は本当に素晴らしいです。
 五郎丸とは5年違いで、大学ではかぶっていませんが、彼が1年生の頃から早大がサントリーに練習に来たりして、よく接していました。1年生の時からキッカーを任されていたけど、彼を支えていたのは何よりも負けん気の強さ。きっと社会人や日本代表にいってもどんどん成長するだろうなと思ったけど、本当にそうなった。トップリーグでは何度も対戦したけど、ボールを持ったときの強さは抜群でしたね。僕はCTBなので、FBの位置から走り込んでくる五郎丸とマッチアップする機会はよくあったんです。
ひとりのラガーマンとしてだけじゃなく、早大の後輩としても、本当に誇りに思う選手です。環境の変化で難しいこともあると思うけど、フランスでの活躍を期待しています。そして、また大きく強くなって帰ってきて、その経験を日本のラグビー界に還元してほしいですね。早稲田にも(笑)

山下大悟(やました・だいご)
1980年11月17日、東京都生まれ。7歳のとき横浜市のグリーンラグビースクールでラグビーを始め、茗渓学園中学を経て桐蔭学園高校に進学。3年時に全国高校大会4強、高校日本代表に選ばれる。早大では1年からCTB、WTBで活躍。4年時に主将として、早大を13季ぶりの大学選手権優勝に導く。サントリーに進み、2007年度に主将としてトップリーグ優勝。2010年NTTコミュニケーションズに移籍。2014年からはトップイーストの日野自動車でプレーしながら早大のスポットコーチを務め、2016年、早大監督に就任した。2002年、日本代表選出(テストマッチ出場なし)

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「ラグビー フランスリーグ TOP14」
ラグビー世界最高峰のプロリーグ「TOP14」。五郎丸歩選手が所属するRCトゥーロンの試合を中心に年間57試合放送予定! 
第11節:
RCトゥーロンvsスタッド・フランセ 
11/14(月)午前4:45〜 [WOWOWライブ] ※生中継 
ラ・ロシェルvsトゥールーズ 
11/14(月)午前7:00〜 [WOWOWライブ] 
※11/13(日)夜10:45〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
第12節:
カストル・オランピックvsRCトゥーロン 
11/19(土)深夜2:15〜 [WOWOWプライム] 
※11/19(土)夜10:40〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
スタッド・フランセvsモンペリエ 
11/20(日)深夜2:30〜 [WOWOWライブ]
※11/20(日)夜8:25〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
★欧州の雄フランスが南半球強豪国を迎え撃つ3連戦!
ラグビーフランス代表テストマッチ
フランスvsサモア 
11/12(土)深夜1:35〜 [WOWOWプライム] 
フランスvsオーストラリア 
11/20(日)午前4:45〜 [WOWOWプライム] 
フランスvs ニュージーランド 
11/27(日)午前4:45〜 [WOWOWライブ]
■詳しくは、WOWOWラグビーオフィシャルサイト(wowow.bs/rugby)をチェック!
■『WOWOWラグビー公式ツイッター』 開設!⇒ https://twitter.com/wowow_rugby
WOWOWのラグビー公式アカウントです。放送スケジュール、最新ニュース、スーパープレー動画等を中心につぶやいています!

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