女子
2016.10.16
亡き国王への想い胸に女子7人制タイ代表が奮闘。女子日本選抜は不覚の一敗
アジアラグビーセブンズシリーズ2016・スリランカ大会初日(10月15日)の女子セブンズ日本選抜は、韓国代表とインド代表をノートライに抑え大勝したが、プールD最終戦のタイ代表戦で不覚を取った。
試合開始直前、突如ハーフライン上に一列に座り込んだ女子タイ代表選手たちが地面に頭を付け、今大会直前に亡くなったプミポン国王への哀悼の意を表す。
流経大柏高校で指導歴があり、2013年からタイに渡り現地で指導を続けている女子タイ代表の大中哲宏コーチは話す。
「タイ女子代表はもともとスピードランナーが多いチーム。代表でまとまった時間が取れない中で、アジアシリーズに向けてフィットネスとタックル練習にフォーカスした。さらにタイは現在雨期で足場が悪く、我慢強さも鍛えられた」
大中コーチに培われた粘り強さとタックルに加え、亡き国王への想いも高ぶり気合十分の女子タイ代表。女子日本選抜はこの気合に飲み込まれる形での試合の入りとなってしまった。
前半1分、タイに先制トライを許すと、前半5分にも防御を崩され連続失点。攻めてもタイの粘り強いタックルに思うようにボールを動かせない。
この日初登場のマテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェも、タイ選手のタックルで得意の突進力が活かせない。
前半終了直前に攻め込まれた日本は、ディフェンスが続く苦しい局面でゴール前オフサイドを犯してしまう。これでPGを決められ、0−17と差を広げられ前半を終了した。
逆転を図る女子日本選抜は後半から堤ほの花を投入。この日のインド戦で3トライの韋駄天に逆転勝利を託す。
後半早々、すばやい展開から中丸彩衣がトライを決めると、続けて堤が相手を振り切り、トライラインを駆け抜け12−17と1トライ差に追い上げた。
しかし直後の後半4分、リスタートのボールを素早く展開したタイ代表に抜かれ、12−24と突き放された。
再び堤がトライを決めたものの、この時点で残り1プレー。最後は相手にタッチに出され、19−24でノーサイドとなった。
女子日本選抜は女子タイ代表に次ぐプールD2位での通過。カップ準決勝の相手は女子香港代表となった。
女子日本選抜の稲田仁ヘッドコーチは「相手をリスペクトして、どの試合も全力で取り組まないとならないことを改めて実感した。まだこのチームはその段階であり、カップトーナメントでは一戦一戦、目の前の勝利を
目指して戦っていきたい」と語った。
(文:南 大庸)
韓国戦での桑井亜乃(撮影:南 大庸)