国内 2016.09.26

熱戦必至のトップイースト。栗田工業が今季初勝利。

熱戦必至のトップイースト。栗田工業が今季初勝利。
雨中戦。ヤクルト(左)は強みのスクラムを活かせなかった。(撮影/多羅正崇)
 例年以上の熱気が伝わってくる。
 トップリーグ(TL)下部のトップイーストDiv.1は、9月24日、25日に第3節の試合を東京・秩父宮ラグビー場などでおこなった。24日、埼玉・ヤクルトグラウンドではヤクルトレビンズ(1勝1敗)と栗田工業ウォーターガッシュ(0勝2敗)が対戦した。
 来年度より3地域リーグ(トップイーストDiv.1、トップウェストA、トップキュウシュウA)が再編され、8チームによる2部リーグ相当の「ジャパンラグビートップチャレンジリーグ(仮称)」がスタートする。同リーグへの参加権を得るための最低条件は、各地域リーグの「3位以上」とあって、昨季6位のヤクルト、昨季5位の栗田工業は、上位進出へより一層の闘志を燃やしている。
 ともに今季に懸ける思いは強い。
 イーストでは6位が過去最高位のヤクルトは、スクラム強化に力を注いできた。「スクラム番長」の異名を持つヤマハ発動機の長谷川慎FWコーチに助言を仰ぎ、今年5月には静岡県磐田市の本拠地へ足を運んで胸を借りた。今ではスクラムを長所とするまでになった。この日のゲームプランについても、高安勇太朗監督は「強いセットプレーで圧倒する」と力強かった。
 対する栗田工業の士気も高い。2014年度から現場指揮官を務め、7人制日本代表の経歴を持つスコット・ピアース ヘッドコーチ(HC)は、「本社だけじゃなく、関連会社もサポートしてくれる」と厚い支援を口にする。地方在住の関連会社社員のためもあって、この日はインターネット動画配信サイトを使って試合を公開。全国にいる栗田工業ファンに報いるべく、「勝つだけじゃなくて勝ち点5点が必要」(ピアースHC)と、ボーナスポイントを奪っての勝利を目指した。
 雨中戦となった試合は前半3分、CTBレオン・ポール・エリソンがロングPGを決めてヤクルトが先制。一方の栗田工業は、15分に敵陣ゴール前のラインアウトモールからインゴールを割ると、36分には、ヤクルトの太田晴之FWコーチが「あれで流れを持っていかれた」と唇をかむプレーを見せた。約90メートルを切り返すインターセプトからのトライだ。栗田工業は前半終了間際にさらに1トライを追加し、19−3とリードして後半を迎えた。
 ヤクルトの自慢のスクラムは、この日は不発だった。逆にペナルティを取られる場面が散見された。栗田工業の来嶋新FWコーチは「ヤクルトさんの強みを消せたのはすごくよかった」と意図通りの様子で微笑んだ。
 試合は後半、栗田工業がさらに2トライを追加して33−3。ノートライに抑える完勝だった。水しぶきの飛び散る悪条件の中、今季初勝利を挙げた。
 ヤクルトの高安監督は、30点差というスコアでの今季2敗目について「厳しい結果です。取りきるべきところで取りきれなかったことが、最終的にこの点差になったという気はします。1週空いて横河さん(横河武蔵野アトラスターズ)が相手なので、どう勝つかという部分にフォーカスして、切り替えていきたいと思います」。
 一方、勝者となったピアースHCは、流ちょうな日本語で初勝利を振り返った。
「最初のふたつは負けちゃったから、大事な試合だった。この試合で負けていたら、シーズンだいたい、終わっていた。トップ3は入るつもり。きょうはラインアウト、スクラムも良かった。それと、ディフェンスで勝ちました」
(文/多羅正崇)

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