国内 2016.08.01

生粋の主将。筑波大の忽那健太が「あいつの帰って来やすい雰囲気を…」。

生粋の主将。筑波大の忽那健太が「あいつの帰って来やすい雰囲気を…」。
関東大学春季大会の東海大戦でタックルにいく筑波大の忽那健太(撮影:福島宏治)
 劣勢のゲームでも、甲高い声で味方を鼓舞する。
「それが僕の持ち味なので」
 筑波大は昨季、加盟する関東大学対抗戦Aで帝京大に勝利。後に大学選手権7連覇を果たすクラブを唯一破った学生チームとなった。スポーツ推薦制度を利した才気が集まる集団にあって、今季は忽那健太が求心力を発揮する。満を持して主将に就任した。
「自然体を意識しているというか…。(自らを主将に選んだ)周りの皆は、いままでの3年間を見てくれていたと思う。変わらずにいこうと思います」
 島根・石見智翠館高でも、ハツラツとしたリーダーだった。春の全国高校選抜大会(埼玉・熊谷ラグビー場)ではチーム初の準優勝に輝き、安藤哲治監督からも信頼を集めた。かつては学校の寮生活で年齢差に基づく因習があったものの、「それは、僕の代で止めました!」と言い切った。
 ラストゲームとなった全国高校ラグビー大会(大阪・花園ラグビー場/2013年1月3日/東京・國學院久我山高に12−29で黒星)の後には、こう言っていた。
「人間が好きで、チームが好きで…。これからもリーダーになりたいです」
 筑波大のラストイヤーは、SO、CTB、FBなど、複数のポジションでの活躍が期待される。一部でパナソニックの練習への参加などが報じられた同期の山沢拓也については、「あいつの実力は皆、わかっている」と断言。いまのチームはあくまで現有戦力でシーズンへ挑もうとしているが、それは仲間を見捨てることと同義ではなかろう。
 忽那は「あいつとは同じ3人兄弟の真ん中で、よく飯に行ったり。親交は深い」とし、いまも連絡を取り合っていると明かした。
「ここは、自分次第。4年生全体であいつの帰ってきやすい雰囲気を作りたい。あいつも(筑波大の部員に)気を遣っていると思うので」
 初の日本一に向け、陽性のオーラを発する。
(文:向 風見也)

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