国内
2016.07.11
トップリーグで「HIA」導入 脳しんとう確認で安全対策向上へ
明らかな脳しんとう、もしくは疑いのある症状を持つすべてのプレーヤーは、
競技や練習を止めさせることが重要(Photo: Getty Images)
激しいコンタクトを伴うラグビーにおいて、脳しんとうは大きな問題のひとつであり、選手の安全性を守るためにワールドラグビー(国際統括団体)も対策に力を入れているなか、ジャパンラグビー トップリーグは11日、2016−2017シーズンから、HIA(Head Injury Assessment)を導入することを決定したと発表した。
HIAは既に、ラグビーワールドカップ2015やスーパーラグビーなどで導入されており、HIAを導入することにより、脳しんとうの疑いのある選手を一時退出させ、HIAの専門的な講習を受けた担当者(マッチドクター、チームドクター)により脳しんとうを確認することが可能になる。退出選手の評価に充てる時間は最大10分間で、その間は一時交替の選手が出場可能。脳しんとうではないと判断された場合には試合に戻ることができるが、脳しんとうと判断された場合には、当該選手はプレーを続行することはできない。これにより、脳しんとうを起こした選手がそのままプレーを継続してしまうことを防ぐことができる。
ワールドラグビーの発表によると、HIA導入前は脳しんとうを起こした選手の56%はそのまま試合を継続していたが、HIAを導入することで、その数字は12%以下に下がったという。
ジャパンラグビー トップリーグ参加チームのメディカルスタッフは、8月にワールドラグビーによる2日間のHIA講習を受講する。2018年9月までには、トップリーグ加盟チームのチームドクターが正式なワールドラグビーICIS/ICIR(Immediate Care in Sports/Immediate Care in Rugby)レベル2以上を取得する予定。
<HIA導入について 詳細>
●フィールド内で脳しんとう/脳しんとうの疑いと判断された場合は、その時点で退場となる。
●HIAはあらかじめ決められた場所で原則としてマッチドクターの管理下にチームドクターが実施することとするが、チームドクターはこれをマッチドクターに委任することができる。
●「脳しんとう/脳しんとうの疑いの所見」をマッチオフィシャルあるいはプレーヤー、チームスタッフ等が発見した場合、そのアピールによりレフリーが試合を止め、必要に応じてHIAを実施する。マッチドクター以外の人がアピールする場合は、第3アシスタントレフリーを通じてレフリーに伝え、当該選手を一時退出させHIAを実施する。原則としてチームメディカルは相手チームの選手に対し、HIAの指摘、要請はできない。
●脳しんとうの確認のため一時退出する選手は、必ずメインスタンド側のタッチライン中央部から退出しなければならない。一時退出時は出場可能な選手を10分間出場させることができる。一時退出は中央部タッチラインをまたいだ時点から確認が終了し再出場の準備をして第3アシスタントレフリーに復帰の申請をするまでの10分間とし、ランニングタイムで計測される。10分を超えても復帰できない場合は負傷交替または退場となる。