各国代表 2016.04.29

新生ジャパン初戦の「10」は山中。出るかもしれなかったW杯に、今度こそ。

新生ジャパン初戦の「10」は山中。出るかもしれなかったW杯に、今度こそ。
昨年のアジアチャンピオンシップ優勝時の写真。山中亮平(中央)も数か月後のW杯をめざしていた
(撮影:長岡洋幸)
 ラグビー日本代表が4月30日、今年度最初の試合をする。神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で、韓国代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ初戦をおこなう。司令塔のSOでは、神戸製鋼所属の山中亮平が先発する。
「緊張はしますけど、楽しみです」
 身長188センチ、体重95キロと日本人BKにあっては大柄な27歳。距離の出るパスやキックで注目を集め、東海大仰星高、早大と各カテゴリーでチームの優勝も経験した。日本代表としてもテストマッチ(国際間の真剣勝負)に4試合、出場してきた。
 現在はサンウルブズの一員として、国際リーグのスーパーラグビーに参戦中だ。もっとも公式戦出場のチャンスは得られず、代表合宿開始の24日から約1週間前の招集依頼にも、「試合に出られるのは(ありがたい)」と前向きに捉える。
「しっかりと結果を出したい。今回は10番(SO)ですけど、どこのポジションで出てもアピールできるようにと思っています。それで(スーパーラグビー出場の)チャンスがあれば…と」
 2015年8月26日、宮崎で合宿を張っていた日本代表から離れた。ワールドカップイングランド大会の登録メンバーに入れず、他の落選者と荷物をまとめて出て行った。そのなかには、今度の韓国代表戦に登録されたSHの内田啓介主将、LOの宇佐美和彦、FLの村田毅もいた。「皆、慰め合っていました」。久しぶりにビールの缶を開けた。「毅は、パフェ食べてました」。それまでは、食生活も徹底管理されていた。
 本番が始まると、追加招集のチャンスが生まれそうだった。
 大会最初の南アフリカ代表戦が間近に迫ると、CTBで先発予定だったクレイグ・ウィングが故障した。神戸で待機中に、現地から「もしかしたら…」と連絡が入った。9月19日、ブライトン・コミュニティースタジアムでジャパンが34−32での勝利に沸くなか、山中は合流に向けた準備を始めた。
 結局、ウィングは最後までチームに残った。しかし、山中は言う。
「僕は落ちましたけど、結果が残せて嬉しかったです」
 今度は自分が笑う番だ。2019年の日本大会を見据える。
 競技人気の沸騰に貢献した当時のメンバーは、今度のジャパンには含まれていない。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチは、現在務めるスーパーラグビーのハイランダーズとの契約上、秋以降の着任となっている。しかも集合は24日と、中竹竜二ヘッドコーチ代行のもと限られた準備期間を強いられている。
 もっとも山中は、どんな時でもナショナルチームの矜持を捨てない。NTTコムのCTB諸葛彬ら、韓国代表の強力なランナーは研究済みだ。「カウンターからのディフェンスはしっかりしないと。アタックでは、相手のディフェンスラインが外側から前に出てくる。周りとコミュニケーションを取りながら、上手く攻めたい」と、戦い方のイメージもある。
「2軍だ、3軍だと言われているんですけど、日本代表は日本代表なので。そこはしっかりとした戦いをしないと、(周りは)納得しない。アジア勢を圧倒して勝つことを見せられれば、納得してくれるんじゃないですかね」
 このあたりに、語気を強めた。
(文:向 風見也)

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