海外
2016.03.03
サンウルブズに追加招集の浅原拓真、海外列強とのスクラムに自信。
サンウルブズのムードメーカーとなっている浅原拓真(撮影:松本かおり)
南半球の強豪クラブが集うスーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズ。初期メンバーは昨年12月に発表されたばかりで、始動は開幕から約3週間前の今年2月上旬だった。さらなる選手層拡大がかねてからの課題となっているなか、強力な援軍が現れた。
浅原拓真、28歳。日本最高峰トップリーグの2015年度準優勝チーム、東芝の右PRだ。身長179センチ、体重113キロと国際舞台にあっては小柄だが、東芝では左PRの三上正貴、HOの湯原祐希とともに息の合ったスクラムワークをアピール。司令塔的な存在の湯原に、その押し込みの強さを活かされている。日本代表選出経験もあり、入社6年目の今季はトップリーグのベストフィフティーンにも輝いていた。スーパーラグビーで避けられない大男とのつばぜり合いを、こう展望する。
「外国人にはパワーがある。ただ、まとまっているのかどうかはわからない。日本人の低さとヒットスピードで、何とかなる」
サンウルブズからは1月下旬に声がかかった。「呼ばれたらその気です」と返事をした。自身の結婚式を経て、2月25日に合流した。3月2日の都内での練習時は、レギュラー組でラインアウトのセッションをおこなう。徐々に頭角を現している。拓殖大からサンウルブズ入りした右PRの具智元をして「僕は外寄り、相手の1番(対面の左PR)に対して組むけど、浅原さんは真っ直ぐ(相手の左PRとHOが組み合う肩あたりへ向かって)組む。新しい組み方で、勉強になる」と言わしめる。その存在が、化学変化を起こしうる。
「いいチームですね。楽しいです。僕はほとんど東芝とジャパンしか経験してないですけど、サンウルブズは新鮮。いい意味でいえば、フランク。練習も最初は楽しい雰囲気で入って、堀江さんが締めてゆく」
ずっと湯原らとのコンビネーションで力を示しており、「本当はユハー、ラブ」と笑う。今回は別なHOと呼吸を合わせる必要があるが、新たな挑戦にも前向きだ。自ら名前を挙げたHOの堀江翔太主将との連携にも、不安はない。パナソニックを拠点とする代表副将について、こう話している。
「言うことが的確。スクラムでは相手を丸め込むことと味方をリードするのがうまい。試合中も1本1本、堀江さんとトークしながら組みたい。(連携については)心配はしていないです」
チームは2月27日、東京・秩父宮ラグビー場での開幕戦でライオンズに13-26と惜敗。3月12日にシンガポール・ナショナルスタジアムでおこなわれる、チーターズとの第3節を見据えている。
初戦の序盤で押された反省から、FW陣は新たなスクラム練習を採り入れた。組み合った選手同士が「1、2、3」と声を掛け合う。「1」の際に腰を落とし、「2、3」の際は決められた方向へ足を運ぶ…。日本代表が昨秋まで、マルク・ダルマゾ スクラムコーチのもとでしていたトレーニングである。本番で足場が乱れても、低い姿勢での一体感を保つのが目的だ。代表経験者の浅原は「初戦では結構、行かれて(押されて)いたけど、それはうちが組み込んでいなかったからでもある。8人全員が低く居続けることが課題。それにフォーカスしました。低く、低く、下半身を強くして…」と述懐。右PRで開幕スタメンだった垣永真之介が負傷で別メニュー調整するなか、次戦でのスーパーラグビーデビューを狙う。
(文:向 風見也)