海外 2016.03.03

早くもサンウルブズの中軸。カークはグラウンド内外でベストを尽くす

早くもサンウルブズの中軸。カークはグラウンド内外でベストを尽くす
サンウルブズのトレーニングで集中するエドワード・カーク(撮影:松本かおり)
 世界最高クラスのリーグ戦であるスーパーラグビーへ日本から初参戦中のサンウルブズには、頼れるオーストラリア人がいる。
 エドワード・カーク。オレンジのひげをたくわえる24歳だ。身長191センチ、体重101キロのバックローで、これまで母国のレッズの一員として通算39試合、スーパーラグビーの公式戦を経験した。日本人選手を軸に開幕3週間前から歩き始めたチームにあって、経験者の存在は大きかろう。東海大4年生だったチームメイトのPR平野翔平は、「練習では皆の元気を出して、終ったらしっかりとリカバリー…。普段からプロフェッショナル」と発した。
 仲間から「カーキー」と呼ばれるカークは、昨季、怪我に泣いた。イースツラグビーユニオンというクラブでプレーしたこの時期を、「タフな時期でしたが、落ち着いて物事を考える時間にしました」と述懐する。今度は心機一転、「新しいチャレンジをしたかった」。日本人と手を組む冒険へ、こんな思いを馳せていた。
「私はブリスベン生まれ、ブリスベン育ち。ずっとそこでラグビーをしてきた。ですので、変化を求めました。サンウルブズでプレーすることへのプライオリティが高かった。それ以外のことは考えなかった。(スーパーラグビーは)常に発展している大会です。対戦相手の国が変わるなど、目まぐるしく変化する。疲労困ぱいのなか、安定したパフォーマンスを残さなければなりません。自分のやるべきことをしっかりやることが大事です。いまの段階で言えば、サンウルブズの形に慣れることも必要。チームのためにベストを尽くす」
 2月27日、東京・秩父宮ラグビー場。ライオンズと今季初戦にNO8で先発フル出場したカークは、目立たぬシーンでこそ目立った。
 息を切らしながら守備網のカバーに回り、相手を捕まえる。チーム最多の13本のタックルを試み、ノーミスで相手を倒した。さらには再三、密集戦でボールへ腕をねじ込んだ。特に3-5と2点差を追う前半32分頃には、自陣22メートルエリア右でその絡みつきを披露。相手の連続攻撃を断つ。球を手離せない「ノット・リリース・ザ・ボール」の反則を誘った。
 試合直後はHOの堀江翔太主将も「ブレイクダウン(接点)で、カーキー選手が絡んでいた」。この話を自ら切り出すあたりに、信頼感がにじむ。結局は13-26で敗戦も、カークは持ち味を発揮した。こんなふうに、手応えを語った。
「素晴らしい形で初戦を迎えられました。結果は得られなかったが、チームとして戦えた。(接点での絡みは)練習でやってきたところですし、自分のアピールしているところでもある。私としては18か月ぶりのスーパーラグビーでのプレーでした。まだまだ慣れようとしている段階ですが、まずは出られたことが嬉しかった」
 37歳とチーム最年長であるLOの大野均には、「性格も明るく、普段は冗談も言う。ただ、プレーは真面目で何でも吸収しようとしてくれている」と評されている。グラウンド外でチームの絆を深め、グラウンド内でチームプレーに徹するのだ。
 12日、シンガポール・ナショナルスタジアムでチーターズとの第3節をおこなう。チームにとって2戦目となる次のゲームに向け、「真剣であることも大事ですが、ラグビーは楽しむためにやっている」との哲学を貫く。
(文:向 風見也)

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