海外 2016.02.10

HO堀江翔太、サンウルブズ初代主将就任の背景。

HO堀江翔太、サンウルブズ初代主将就任の背景。
会見をおこなったサンウルブズの堀江主将とハメットHC(撮影:長尾亜紀)
 初代主将は、HO堀江翔太となった。世界最高峰リーグのスーパーラグビーへ今季から参戦する日本のサンウルブズが、2月9日、正式に発表。本人は「スタッフともコミュニケーションを取って進めていきたい」と宣言した。
 チームが都内でメディカルチェックをしていた5日、コーチ陣の集まるホテルの一室で任命を受けた。「驚きはなかった」。かねて仲間内でも、就任を熱望されていた。
 2013年から2年連続でレベルズに在籍し、スーパーラグビーを経験。日本代表としては昨秋のワールドカップイングランド大会で副将として3勝を挙げ、国内所蔵先のパナソニックでも主将としてトップリーグ3連覇を達成している。器用さと戦術理解の高さに定評のある30歳は、鷹揚な気風で人を寄せ付ける。
 新たな船出に際しても、報道陣を前にこう宣言した。
「まぁ、皆さんも薄々は気づいていただろうと思いますけど。任命されて光栄です。スーパーラグビーのチームの初代キャプテンなんて、なかなかできない。試合(シーズン)に入るなかで、選手同士、選手とスタッフの間などでの仲介役になれたらな、と。チームには経験豊富な選手もいっぱいいるので、海外の選手の話も聞いて、いいチームを作っていきたい」
 来日して間もないマーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)は、「皆が彼を信頼しているという周りからの評判と、自分の考えをもとに決めました」と指名の背景を明かした。「チームは皆で作るもの」との哲学から、戦術、戦略やベーシックスキルの構築にも選手の意見を採り入れたいと強調する。リーダーシップグループを組成し、日本代表のSO立川理道、サモア代表のSOトゥシ・ピシなどに重責を与える。多角度的に、HO堀江主将を支える。
「私がもっと選手をよく理解した時、役割を果たしてくれそうな人を新たに(リーダーシップグループへ)参加させる可能性もあります。一時期、複数主将制のアイデアも出していましたが、いまはそういったことは考えていません」
 就任会見中も、その後の練習前の準備中も、HO堀江主将は「ハマーさん(ハメットHCの愛称)は僕のことをサポートしてくれている」と強調していた。開幕4週間前に結成したクラブにおけるこのバランス感覚も、船頭役就任を後押ししたか。
 ハメットHCは、サンウルブズというチーム名の由来のひとつとなっている「ウルフ(狼)」を例に挙げて言った。
「この先どうなるかが不確定ななか主将をやるのは、勇敢な決断です。だからこそ、ショータを主将に選びました。彼はこのチームだけでなく、世界中からリスペクトされています。言動だけでなく、行動で引っ張っていける。チームにもクリアなメッセージを出せる。狼は1匹では何もできません。グループを作ることで強くなります。翔太は、グループの先頭を引っ張るリーダーの狼となります。周りのサポートがあって、本領を発揮します。自分も含め、周りの選手たちもショータをサポートしたい」
 チームは13日に愛知・豊田スタジアムで国内最高峰のトップリーグ選抜との壮行試合をおこない、27日の開幕戦を見据える(東京・秩父宮ラグビー場/対ライオンズ)。HO堀江主将は「できたてのチーム。何勝するとか、そんな偉そうなことは言えない。いまは自分たちの戦術、戦略を作り上げる」と決意を込めた。
(文:向 風見也)

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