海外 2016.02.09

サンウルブズ本格始動。「次はビジョンとテクニックを」(ハメットHC)

サンウルブズ本格始動。「次はビジョンとテクニックを」(ハメットHC)
指導にあたるマーク・ハメット ヘッドコーチ。(撮影/長尾亜紀)

 世界最高クラスのリーグであるスーパーラグビーへ今季から参戦する日本のサンウルブズが、2月8日、ついに本格始動。愛知・トヨタスポーツセンターでの全体練習を公開し、マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)は「皆の熱意があったのはよかった」と振り返った。

 この国最初のスーパーラグビークラブであるサンウルブズは、2月3日に都内でメディカルチェックを開始した。他チームよりやや短い約4週間での準備で開幕を迎えるが、「どんどん選手とコミュニケーションを取っていく」とHO堀江翔太。2月7日の夜に愛知県内のホテルへ集合して本格的な合宿をスタートさせ、「海外から来た選手も日本語でのラインアウトサインを覚えようとしていて、いいですよ」と前向きな談話を発信する。
「早くチームのラグビーを選手同士で理解して、(若手などに)アドバイスできるところはしていきたい。そのために、わからないことはほんの些細なことでも(首脳陣に)聞いていきたいかな、と。いろんな選手の『こうした方がいい』という思いも引き出していけたら」

 HO堀江など、昨秋のワールドカップ・イングランド大会を戦った日本代表選手や、FB笹倉康誉のような15人制代表歴のない有望株、サントリー所属のSOトゥシ・ピシに代表される日本になじみのある外国人選手、今回のチャンスを機に来日したFLエドワード・カークら、多彩なキャリアを持った選手たちがワンチームを築く。午前中はミーティングで戦術の大枠を共有し、宿泊施設近くの公園でラインアウトのサインも確認。SH矢富勇毅は「(落とし込まれた内容を)覚えることに必死」と話し、こう続けた。
「オーソドックスで難しいことはなく。ただそのなかでも、しっかりとボールを動かす。初めてのチームで一気に詰め込んでも…ということで、最初はシンプルなことを提示して、成熟したらいろんなオプションを、と」

 午後の公開練習では、クラブの大枠がやや示されたか。
 SHとSOの周辺にパスの受け手としてFWが集まる「シェイプ」を使う攻撃戦術が用いられる見込みだ。日本代表と同種のフォーマットを採用する格好だが、サンウルブズはより大外へ球を振る意識が強いか。「柔軟な攻め方ができるような形。午前中にもウォークスルー(歩きながら戦術を確認する練習)をしたのですけど、ある程度の形が決まったなかでも、選手の判断も必要になってくる」とは、SH矢富の弁だ。HO堀江は「全ては言えないですけど…。ジャパンの時とは違う感じになるかと思います」と話していた。

 肉弾戦でのスキルトレーニングでは、ハメットHC自らが指導した。タックルされたボール保持者が球を懐に隠し、ほふく前進するような体勢を意識づけ。初日とあって全体練習にミスが散見されるなか、「次の練習ではそこへテクニックとビジョンを追加して欲しい」と言った。
「(ミーティングでは)シェイプの説明などをしました。頭のなかは情報でいっぱいかもしれません。動かすラグビーをしたいから、(接点では)限られた人数でボールを確保したい。(自身が指導したものは)そういう練習です。(準備期間の短さは)理想的とは言えません。ただ、1日でも早く結束力を磨きたい。いまはお互いを知り合っているところ。私が理想としている文化は、ルール、プロトコル(プレーの手順など)をしっかりと理解したメンバーがいる状態です」

 37歳とチーム最年長のLO大野均は、チームTシャツの腕にあしらわれたスーパーラグビーのロゴを指さし、「今朝、これを観てひとりでニヤッとしてしまいました」。グラウンドを引き上げる際には「ミーティングした内容がすぐに実践できていたので、レベルの高い選手の集まりだな、と。『これ』をつけている以上は質の高いプレーを見せないといけない。そうしたいい意味でのプレッシャーはある」と語った。
 サンウルブズは2月13日に愛知・トヨタスタジアムで国内最高峰のトップリーグ選抜との壮行試合をおこない、2月27日の開幕戦を見据える(東京・秩父宮ラグビー場/対ライオンズ)。

(文:向 風見也)

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