海外 2016.02.08

王者パナの最後の砦、笹倉。サンウルブズで「どこでも」&「ぶっ飛ばす」宣言

王者パナの最後の砦、笹倉。サンウルブズで「どこでも」&「ぶっ飛ばす」宣言
スーパーラグビーでも活躍が期待される笹倉康誉(撮影:松本かおり)
 国内最高峰のトップリーグで3連覇を果たしたパナソニックにあって、代表歴がなくともチームに不可欠な存在だったのがFB笹倉康誉だ。2月からは世界最高クラスのリーグ、スーパーラグビーへ挑む。日本から参加するサンウルブズの一員として、「自分を成長させるチャンス」と意気込む。
 神奈川・向上高、関東学院大を経てパナソニック入りし、5シーズンを数えた。身長186センチ、体重92キロのサイズを誇り、ハイボールでの強さや突破力を持ち味とする。
 チームではHO堀江翔太主将ら、日本代表の中核とともに戦ってきた。サンウルブズからのオファーを受けた折は、HO堀江らの参戦も聞き及んでいた。だからこそ、前向きにサインできた。
「不安は、なかったですね。日本でも外国人選手は多いし、レベルの高い環境でやって来ているとは思っている。恐怖感とかはなく、自分がどこまで通用するか…という思いが強いですね。パナソニックの先輩たちはすごい。ラグビーについての考えがすごく勉強になる。こういうところ(サンウルブズ)でも、いいところがあったら盗んでいきたい」
 今月3日から都内であったメディカル合宿には、最終日の5日に加わった。自身と一緒に合流した4選手と集まって、マーク・ハメット ヘッドコーチの自己紹介をかねたミーティングをおこなう。指揮官とは1対1でも面談し、「気さくで和ませてくれる、いい方」との印象を受けた。その時には…。
「9番(SH)以外はやったことがある。そのことは、伝えました」
 関東学大時代はCTBとして1年時からレギュラーを張り、WTBへの適応力も示した。FBに転向したパナソニックでは、SOでもプレー経験がある。限られた戦力でタフな日程を乗り越えるうえで、その万能性で魅せたい。
 スーパーラグビーでは5月21日、ブリスベンでの第13節が注目される。対戦するレッズには、昨秋のワールドカップイングランド大会で日本代表だったFB五郎丸歩が在籍。チャンピオンチームのグラウンド最後尾に屹立しながらジャパン入りの叶わなかったFB笹倉は、直接対決について聞かれ「いや、もう、ぶっ飛ばしたいですね」と笑いながら即答した。その発言は各所で取り上げられたが、その時はこうも話していた。
「(FB五郎丸は)いま、一番すごいじゃないですか。それよりも上に行けば(新たな)チャンスもあると思うんで…」
 開幕から4週間前の始動とあって、準備期間が限られるなかでの取るべき姿勢も問われる。そんななかFB笹倉は、パナソニックの強さの秘密にも通じるような言葉を残した。
「コーチが何をしたいのか、選手にどうして欲しいと思っているのか。それを速く理解して、自分の役割を見つける。あとは、コミュニケーションですね。試合中もコミュニケーションが大事なので、早く(新しいチームメイトの)名前を覚えたいです」
 8日からの愛知合宿を見据える。
(文:向 風見也)

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