国内 2016.02.01

闘将・野口真寛、ドクターストップで引退へ

闘将・野口真寛、ドクターストップで引退へ
大阪府警戦は最後の20分間プレーした(撮影:?塩隆)
 1月30日、トップリーグ入替戦を76-0と大勝したリコー。その試合後、野口真寛主将が胴上げされた。この試合限りで引退するからだ。
 体力の限界ではない。脳震盪により、ドクターから引退を決断する時だと言われた。試合当日まで、リーダーだけには「入替戦を最後に」と話したそうだが、大半の選手たちは試合後の円陣で聞かされた。
「同期にも言っていませんでした。首の怪我と脳震盪を繰り返して、コンタクトができなくて、欠場が増えました。自分は身体を張らないとジャージーを着れないと思っているので、その部分が出したくても出せない。テクニックでどうにかできないかと思った時もありましたが、このレベルではどうもできない」と本人。
 今年7連覇を成し遂げた帝京大のV1時の主将だ。周囲に愛されるキャラクターとピッチでは最前線で身体を張る男。NO8で出場しても、時折役割を忘れて、最前線でボール争奪戦に参加することもたびたび。だから、今年のファーストステージでチームのブレークダウンが思うようにいかないことに歯がゆかった。悪循環で、焦りもあり、黒星が重なったことに責任も感じていた。
 ただ、順位決定戦に入ると、チームのパフォーマンスは急激によくなる。オーストラリア代表SOバーナード・フォーリーがチームの特徴を覚え、周囲とのコミュニケーションが取れるようになるとチームは一変。最終戦は圧勝で締めたが、野口自身は後半21分から入替出場、32分には現役生活最後のトライも挙げた。
「1週間前から少しでも準備したいというのと、寂しい思いもありました。引退かと思うと感極まった部分も。トライできるなんか想像もしなかった。この仲間が、来季に勝ってくれることが一番の願いですね。徳永(SO/亮)もフォーリーを見て、よくなるはず。いや、来年はやってくれる」
 翌日、日本選手権を戦い終えた帝京大の岩出雅之監督は、「さびしいかもしれないでしょう。でも、スパイク脱ぐ時が次のスタート。ブーツをネクタイに変えて、次の人生を頑張れ。彼にとってもそうですが、私にとっても大切な命なので」とメッセージを送る。
「今日のような気持ちの入ったプレーがリコー本来のラグビーです。(終盤戦になり)ようやく自分たちらしいラグビーを出せるようになってきた。必ず、来季のプラスにしたい。引退するので関われないですが、それを楽しみにしています」と野口。帝京大を去る時も主将。後輩たちはあれ以来、勝ち続けている。今季も主将として、チームに大きなメッセージを残して熊谷ラグビー場を後にした。
(取材:福田達)

2

帝京大初優勝時、胴上げされる野口主将(撮影:?塩隆)

PICK UP