国内
2016.01.11
九電が大阪府警を完全封鎖! サニックスはジャブ効き三菱重工相模原に圧勝
大阪府警察をノートライに抑えた九州電力のディフェンス(撮影:Hiroaki.UENO)
日本最高峰リーグへの復帰をめざす九州勢がホームで好発進だ。
三地域リーグの上位チームによる「トップチャレンジ1」が1月10日に福岡・レベルファイブスタジアムで開幕し、トップチャレンジ2から勝ち上がってきた九州電力はトップウェストA1位の大阪府警察に31-3で快勝、トップキュウシュウAを制した宗像サニックスはトップイーストDiv.1優勝の三菱重工相模原を48-18で下し、勝者はどちらも勝点5を手にしている。
今季は自動昇格がないものの、トップリーグ下位チーム(13位〜16位)との入替戦にできるだけいいポジションで勢いよく臨むためには、トップチャレンジ1の順位も重要となってくる。
九州電力は最初の20分間を苦戦した。大阪府警察が体を張ってプレッシャーをかけ、ボールを長くキープして敵陣で攻め続けた。しかし、九電は耐え、勇敢な黒ジャージーの男たちを封じ込めていった。
「九州電力さんの、若干飛び出してくるディフェンスに対してうまく対応できなかった。本来なら外に展開してトライを取りたかったが、外側の選手が飛び出してくるので、そこでうまく内に入れられて、ボールを展開できなかった」(大阪府警察・古川敬祐監督)
PGで先制を許したものの、守りで流れを呼び込んだ九電は前半26分、帝京大出身の勝負強いトライゲッターであるWTB磯田泰成がゴール左隅に飛び込んで逆転した。アタックのテンポが上がり、29分にはCTB下釜優次が突破してFB加藤誠央につなぎ、連続トライ。32分には再びルーキーのWTB磯田が左タッチライン沿いを駆け抜け、主導権を握る。
九電は後半にも2トライを追加。ディフェンスはしぶといままで、終盤には2人がイエローカードをもらって13人になったが、それでも、大阪府警察に一度もゴールラインを割らせなかった。
「きょうは『ファーストステップ』というテーマで臨んだ。大阪府警さんの素早い動き出し、統率の取れたディフェンスやアタックに対して、はじめの動き出しで負けない、と。そこは試合を通してうまくできたと思う」と勝利チームキャプテンのCTB中?憲章。瓜生丈治監督は「(九電の)選手たちはゲーム中でも相手の強みや弱みを理解して、戦術や攻守のやり方を自分たちでうまくコントロールできた。そこは次につながるし、1年間ですごく成長した部分だと思う」と語り、次節以降の戦いと入替戦へ向けて自信をのぞかせた。
一方、敗れはしたものの、初のトップリーグ入替戦へ向けて期待が高まっている大阪府警察のSH大友健太郎キャプテンは、「大阪府警の本部に行かせてもらう機会もあるんですけど、どの部署に行っても『がんばれ!』と声をかけていただく。注目されているんだと感じている。これから対戦する相手は外国人もいて格上のチームだと思うが、ひるむことなく、自分たちのプレーをしっかり貫き通して戦っていきたい」と前を向いた。
地域リーグで負け知らずだった宗像サニックスと三菱重工相模原の戦いは、接戦が予想され、前半はその通り14-10の僅差だったが、後半はサニックスサポーターにとっての痛快劇だった。
この試合、サニックスはスクラムにこだわるシーンが多かった。昨季までそこはウィークポイントとみられてきたが、徹底的に鍛え、FWは自信をつけていた。前半10分の先制トライはスクラムで優勢となってから生まれたもの。ゴール前中央でペナルティをもらってもショットを狙わず、キャプテンのFL田村衛土はスクラムを選択した。
「スクラムはしっかりやってきたので自信もあるし、バックスに出したとしても、バックスもすごい自信を持っているので、どちらでもいい。スクラムで押せるとこまで押してバックスに出してもいいですし」
ハーフタイム前のスクラムからの攻撃は三菱重工相模原の粘り強い守りに阻まれたが、サニックスの後半最初のトライもスクラムが起点だった。
さらに後半は、日本代表WTBカーン・ヘスケスなどフレッシュレッグの投入でサニックスの勢いは加速し、全員がよく走るこのチームはサポートもよく、後半だけで6トライと圧倒した。
「前半から体をしっかり当てて、相手にしっかりジャブを打ち込んで、後半は相手がついてこれないような状態だった」と試合を振り返った宗像サニックスの藤井雄一郎監督。フィジカルにも自信を持っており、「近場での力の勝負と、外で走らせるのと、両方でジャブを打ち続けて、空いたところを攻めていった結果」が後半の大差となった。
一方、前半をほぼイーブンで終え、「イケる!」と手ごたえを感じていた三菱重工相模原のSH西舘健太キャプテンだが、「後半、きつい時間帯でいかにハードワークできるかがポイントだったと思うが……。ペナルティを多く出して、自分たちのリズムに持っていくとこまでいけなかった」と悔しがった。
三菱重工相模原は過去3シーズン、イーストリーグを突破するもののトップチャレンジ1と入替戦で失速し、2007-08シーズン以来のトップリーグ復帰を果たせていない。それは佐藤喬輔監督もよくわかっている。
「ここからが本当の勝負。僕らのチームには花形の選手はいないので、いかにチームのシステムを守って、機能を高めて、チーム全体として挑むかがキーになると思う。チャレンジャーなりの戦い方があると思うので、アグレッシブに、正々堂々と挑戦したい」
今季トップリーグは13位以下のチームが確定し、NTTドコモ、NEC、コカ・コーラ、リコーが入替戦に臨むことが決まっている。
このことについて訊くと、宗像サニックスの藤井監督はこう答えた。
「(今季トップリーグで戦ってきた)この4チームがうちの試合を深く分析することは難しいと思うが、うちはプレシーズンから、すべてのチームを、誰が何分出たとかまでしっかり分析できている。その部分ではうちの方が有利かなと思う」
トップリーグチームとの入替戦でも楽しみな宗像サニックスのスクラム(撮影:Hiroaki.UENO)