国内
2016.01.10
帝京大、堂々の7連覇! 東海大のチャレンジ退け極上のフィナーレ
重責を果たし、仲間と喜ぶ帝京大の坂手主将(撮影:松本かおり)
勝った帝京大の岩出雅之監督は試合直後のインタビューで東海大へ感謝の気持ちを伝えた。チャレンジャーの渾身のファイトが自分たちの力を引き出してくれた、と。
真紅のジャージーが、学生相手にこれだけ出し切る試合を久しぶりに見た。青いジャージーを真っ向勝負で倒し、押し込み、力を結集して最後は突き放した。27-17(前半:5-5)。王者は学生最高レベルのフィジカル戦に堂々と勝って、大学選手権での優勝記録を7連覇に伸ばした。
先制点はチャレンジャーだった。スクラムやモールで圧力をかけ続けて迎えた前半31分。しばらく敵陣深くに居座った後、3度目のゴール前ラインアウトでモールを押し込んだ。帝京大に反則を重ねさせた時間帯は、足を止めてパワー全開。自分たちの強味を前面に出せた時間帯だった。
しかし、その直後のキックオフから王者は同点トライを奪った。蹴り込んだキックオフにプレッシャーをかけてボールを手にすると、攻撃を重ねて最後はWTB竹山晃暉が左タッチラインを駆けた。さすがの集中力だった。
同点で迎えた後半立ち上がり。帝京大は、この大事な時間帯を制して勝利を手にした。最初のキックオフでFLマルジーン・イラウアが猛タックルで圧力をかけた後、反則を誘う。王者はPGで勝ち越し、その6分後にはキックカウンターから防御の隙を突いて大きくゲイン。最後は途中出場のFB重一生がトライを決めた(コンバージョンも決まり15-5)。点差を広げたところで赤いジャージーはいつものようにダイナミックに攻め始め、それを受けた東海大・藤田貴大主将は「相手が思いきって攻め出したことでフィットネスを奪われていった」と話した。
後半19分、相手反則で得たPKを深く蹴り込んだ帝京大はラインアウト後のモールを押し切ってHO堀越康介がトライ、勝負を決めた。東海大も残り7分になって攻撃を重ねてトライを返し、ラストプレーでもBKが走り切ったが、スコアがひっくり返ることはなかった。
敗れた東海大の木村季由監督は力を出し切った学生たちへ敬意を払ったが、「接点(での勝負)は互角ではなかった」と言った。
「ブレイクダウンに入ってくる加速感が違いました」
藤田主将もその部分の激しさと、メンタルの強さに屈したことを認めた。
7連覇を達成した岩出監督は「久々に厳しい決勝戦でした。重みのある試合を経験できた。そういう試合に勝てて嬉しいですね。1年間やって来たことを学生がやってくれました」
主力BKの森谷圭介が数日前の怪我で欠場するなどの理由で「すべての仕込みが狂った」ものの、「試合内容は変わると思いましたが、勝利への確信は変わりませんでした」。積み上げてきたものへの自信をあらためて示した。
「仲間とともに厳しさを楽しんでいこうと言って試合に臨みました。相手にプレッシャーをかけたが、相手のプレッシャーも受けた。それでいい試合になった。だけど仲間を信頼して戦えたので勝てた」
怪我のため僅か4分だけの出場だったHO坂手淳史だったが、主将は極上のフィナーレを迎えて最高の気分だった。