国内
2015.12.31
敗れるも集大成出した秋田中央高校。キャプテン、悔恨と充実を話す。
サポートに走る本城玄主将(写真右)。秋田中央は後半自分たちらしさを見せた。(撮影/牛島寿人)
勝利を得られたら最高だった。それは成らなかったけれど、自分たちのラグビーを最後まで貫けたから充実感はある。それも相手はシード校。全国トップレベルに対し、自分たちの時間を確かに持てた。
全国高校ラグビー(花園)の3日目となった12月30日。この日から登場したシード校相手に自分たちの存在を証明した。秋田中央高校は桐蔭学園高校(神奈川)に15-40と敗れたものの、前半終了間際から試合終盤までに3トライ。BKが鋭く前に出たところにFWが殺到し前へ出た。敵陣ゴールに迫っては強固なモールを組み、3度トライラインを越えた。ベンチや応援席が沸いた回数は少なくなかった。
序盤に33点を失った展開を、本城玄主将は「相手の勢いとスピードについていけなかった」と振り返った。
「序盤、全国(トップクラス)の勢いとスピードを受けてしまいました。思っていた通りに守れなかった」
だから、インゴールで円陣を組むたびに仲間を集めて言った。
「とにかくファーストタックラーだ、と。1人目が低く、激しくタックルに入ろうと言い続けました」
全員がそこに集中できるようになってから流れがこちらに傾き始めた。相手の反則を誘う。キックで前に出て、モールに力を結集する。
「後半、自分たちがやってきたことをしっかり出せた。やり切れたことは本当によかった。(日々の練習の)集大成を出せました。毎日くり返してきたことが間違いじゃなかったことが証明できました」
後輩たちには、この一歩先に進んでほしい。試合への入りがどれだけ大切か、思い知ったはずだ。そして信じる道を徹底していけば、全国トップレベルからもいつか勝利を手にできる。
1年間キャプテンとして生きて、多くのことを知った。チームの顔だ。他の部員より、多くの人と会い、話す。そんな立場を経験して湧き出た思いは「感謝」だった。
「自分たちがどれだけ多くの方々に支えられてプレーしているかが分かりました。その中で、仲間や周囲を信頼していくことの大切さもあらためて知りました」
同期16人の協力があったからやれた。下級生にも支えられた。すべてのことはピッチの上の人間だけでなく、全員で成し遂げたことだった。
卒業後は学校推薦を受けて明治大学へ進学することが決まっている。ラグビーを続けるかどうか決心はついていない。「ラグビーが大好きなので、将来は地域のラグビーのために貢献したいな、と思っているんです。教職に就くことも含め、指導者にも興味がある。だから大学では勉強も頑張らないと、と思って」というのが迷っている理由だ。
故郷に戻ってひと息つけば、きっとまた楕円球を追いたくなる。ラグビーは人生の教室。学ぶべきものはそこにあるのだから。