国内
2015.12.14
関東大学リーグ戦、朝鮮大が6季ぶり2部昇格。白鴎大は残留
6年ぶりの昇格を喜ぶ朝鮮大メンバー(撮影:見明亨徳)
12月13日、関東大学リーグ戦2部・3部入替戦が玉川大グラウンドで行われた。2部8位の玉川大は3部1位の朝鮮大と対戦し、朝鮮大が24-18で逃げ切り2010年以来、6季ぶりの昇格を勝ち取った。2部7位・白鴎大は後半、3部2位の東京農業大に追い上げられたが20-15で残留を決めた。
後半5分、朝鮮大CTB安が一気にトライを奪った(撮影:見明亨徳)
「25人の部員でつかんだ栄光/朝鮮大」
朝鮮大 24(前半12-8)18 玉川大
先制は朝鮮大。前半9分に玉川ゴール前のラインアウトからモールで前進、一度、崩れたが再度モールを組みPR金哲誠(キム・チョルソン、3年)がインゴールへボールを運んだ。コンバージョンも決め7-0。しかし玉川は5分後、ラインアウト-モールでお返しし、5点を返した。
その後はお互い攻めあぐねる。25分に玉川は中央の難しい位置からPGを外したが、32分、FB前田崇将(2年)が22メートル内のPGを決め7-8と逆転した。
前半ロスタイム、朝鮮は玉川陣でラインアウトを得るもタッチへ押し出された。続く玉川ボールのラインアウトをスチールしモールを押す。ラックから左へ大きく回し、CTB邵基允(ソ・キユン、2年)がトライラインをこえ12-8と再逆転で前半を終えた。
後半も最初に加点したのは朝鮮。5分に自陣でターンオーバーすると、CTB安昌秀(アン・チャンス、4年)が左ライン際を一気に玉川ゴールまで駆け抜けた(17-8)。
14分に玉川はゴール正面でPKを得ると、冷静にPGを成功し17-11と追い上げる。ここで朝鮮にビッグプレーが出た。リスタートで得たボールを朝鮮が玉川陣へ蹴りこむ。玉川がキックするも朝鮮がチャージし、PR金が2トライ目を奪った(24-11)。
32分に玉川が朝鮮ゴール前で反則を得、FWが押し込み7点を返し、6点差へ迫った(24-18)。
残り5分以上、朝鮮は玉川の攻めを守り切り、ノーサイドとなった。
朝鮮大は弟校に大阪朝鮮高や今年、初の全国大会出場を決めた東京朝鮮高など中学からラグビーを始めている好選手がいる。しかし、大阪朝高の有力選手は関西大学Aの有力校に、東京朝高も関東の強豪大がスカウトする傾向にある。大学卒業後の進路や選手の家庭事情などを踏まえると仕方がない面もある。
そのため最近は部員不足に悩んでいる。今季は19人でスタート。1年生が4人加わり、大学入学後はラグビーをやめていた2年生2人が入部し25人で戦ってきた。 就任2年目の呉衡基(オ・ヒョンギ)監督は「昇格は素直にうれしい。プライドを持って戦かった。試合を経験するごとに選手は成長した。朝高ラグビー部員が朝大にあこがれをもち入部してくれる存在になりたい」と述べた。
主将のLO辛洸誠(シン・グァンソン、4年)は愛知朝高出身。OBのWTB徐吉嶺(ソ・ギルリョン、豊田自動織機)の後輩になる。「朝大は人数が少ない分、家族のようにまとまっている。気持ちを通じ勝利できた」と喜びを語った。
白鴎大NO8タウマフィがトライラインを越えた(撮影:見明亨徳)
「白鴎はひやひや勝利で2部残留」
白鴎大 20(前半5-8)15 東京農業大
白鴎大はリードされた前半28分、農大ゴール前のラインアウトを押し込み、サモアからの留学生NO8アオクソ・タウマフィ(2年)がトライラインを越え5-5と同点に追いついた。直後、農大がPGを決め、5-8で前半を終えた。
後半は白鴎が攻め込む展開になった。10分、PGで同点にすると、22分には農大ゴール前で得た反則をタウマフィがインゴールへ持ち込み逆転した(ゴールキック成功で15-8)。
さらに25分にトライを追加し、20-8と逃げ切るかに見えた。
ロスタイム、農大は白鴎陣でのこぼれ球を拾いトライ。ゴールキックも決め20-15と迫った。
最後まで攻めたてたが、ノーサイドの笛が鳴った。
白鴎大・鴫原信之(しぎはら)監督は「前半リズムに乗れなかった。後半、回復しモールも押せるようになった。タウマフィは日本語も覚えてチームに溶け込んできた」と接戦の勝利を振り返った。
(文:見明亨徳)