国内 2015.12.12

ラグビーを愛する人のためのゲーム。パナソニック×東芝はせめぎ合いのドロー

ラグビーを愛する人のためのゲーム。パナソニック×東芝はせめぎ合いのドロー
ボールを両手で抱えて突進する東芝のリーチ マイケル(撮影:井田新輔)
<ラグビートップリーグ グループA 第5節>
東芝 17-17 パナソニック
(2015年12月12日/東京・秩父宮ラグビー場)
 10-10の同点で迎えた後半11分頃、昨季王者のパナソニックが2人1組での前進を織り交ぜて前進。FL布巻峻介が球を持ち敵陣ゴールラインを越えんとするや、「賭け」に出たのがNO8徳永祥尭だ。対する同4強の東芝の新人は、「ボールが見える。働きかけよう」。FL布巻が持つ球に手をかけ、落球を誘った。
 パナソニックも、中盤で向かって右へ、右へと攻撃を仕掛ける東芝に辛抱強くタックル。ランナーのNO8徳永への援護がかすかに遅れるや、タックルに入ったNO8ホラニ龍コリニアシがそのままボールを狩る。「気持ちとフィジカルで負けたら、アウト」。モールで勝ち越しの認定トライを得る、5分前のことだった。2万人超の観客が見守る上位チームの合戦。せめぎ合いが重なった。
 最後に引き分けを導いた37分の得点も、つば競り合いの産物だった。
 東芝が敵陣ゴール前でスクラムを押し続け、2本、相手の反則を呼ぶ。中央のHO湯原祐希は3本目で止めを刺すか。否。前列の選手を入れ替えたパナソニックは踏ん張る。壁を作るパナソニックと壁に当たる東芝の意地の張り合いが3分。インゴールへ飛ぶFL山本紘史の真下へFLベン・マッカルマンが滑り込む…。
 トライ。ゴールも決まって17-17。
 緊迫の場面の述懐。「崩されたわけじゃない。よく我慢した」とパナソニックのHO堀江翔太主将が言えば、東芝のLO大野均は「楽しめている自分もいた」。最後は、パナソニックのロビー・ディーンズ監督が笑った。
「ラグビーを本当に好きな人は、この試合を楽しんでくれたでしょう」
(文:向 風見也)

PICK UP