スコットランドが土壇場で勝利逃す 豪州が歓喜し、W杯4強はすべて南半球勢
ラグビーワールドカップ2015で、北半球勢最後の希望となったスコットランドが、オーストラリアとの準々決勝で勝利をつかみかけたが、ラスト1分で逆転され、34-35で涙をのんだ。18日、ロンドンのトゥイッケナムスタジアムでおこなわれた死闘。強い雨が降るなか、オーストラリアのSOバーナード・フォーリーがPGを決め、やがてノーサイドの笛が鳴った。
この結果、ベスト4に残ったのはいずれも南半球の国となった。一週間後にトゥイッケナムでおこなわれる準決勝は、ニュージーランド対南アフリカ(24日)、アルゼンチン対オーストラリア(25日)。
前半9分、オーストラリアがWTBアダム・アシュリー=クーパーのトライで先制した。
しかし、PGで3点を入れたスコットランドは17分、フェイズを重ねて敵陣深くに入り、ゴール前のラックからCTBピーター・ホーンがするりと抜けて逆転した。その後、スコットランドはSHグレイグ・レイドローのブーツで加点し、8点リードとなる。
追う立場となったオーストラリアは29分、ゴールラインに迫って左へ大きく回し、WTBドリュー・ミッチェルが左隅に飛び込んだ。その後、相手にPGを決められたが、前半終了前にモールで押し込み、トライが認められた。しかし、この日のフォーリーはキックが不調で、16-15とスコットランドのリードで折り返した。
だが後半早々、スコットランドはショーン・マイトランドが意図的な反則でシンビンとなり、流れが変わる。
直後、オーストラリアは強力なドライビングモールで前進し、ショートサイドにスペースができると、モールの最後尾からボールを受け取ったSHウィル・ゲニアが左WTBのミッチェルにパスし、逆転トライが生まれた。コンバージョンも成功、オーストラリアが6点リードする。
その後、互いにPGを1本ずつ決め、迎えた58分(後半18分)、スコットランドのSOフィン・ラッセルが相手キックをチャージしてチャンスとなり、WTBトミー・シーモアがトライ。24-25となった。
しかし、現在世界ランキング2位のオーストラリアが64分にリードを広げる。パワフルCTBのテヴィタ・クリンドラニがファイブポインターとなり、コンバージョンも決まって8点差。
それでも、英国民の期待を背負ったスコットランドは食らいついた。69分にPGで5点差とする。そして、73分過ぎ、CTBマーク・ベネットが相手パスをインターセプトし、逆転につながるトライを決めた。オーストラリアの途中出場PR、ジェームズ・スリッパーがパスを迷ったところを見逃さなかった。34-32、スコットランドが勝利に近づく。
激しい雨が降るなか、時間は刻々と進み、78分になろうとしていた。残り2分。スコットランドが自陣でラインアウト。乱れた。ノックオンとなったボールを味方のPRジョン・ウェルシュが取ってしまい、オフサイドの笛。
残り1分を切り、オーストラリアのSOフォーリーが落ち着いてPGを決め、劇的な幕切れとなった。
敗れたレイドロー主将は落胆を隠せなかった。
「何と言えばいいかわからない。言葉を失っている」