日本代表ダルマゾ&ボーズウィック両コーチ セットプレー整備で打倒サモア!
(Photo: Getty Images)
ラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会に臨む日本代表は、10月3日、ミルトンキーンズ・スタジアムmkで予選プールBのサモア代表戦に挑む。ここまで1勝1敗で勝点を4とし、目標の準々決勝進出に向けて次戦をマストウィンの勝負とする。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)は「W杯で最も重要な時間がやってきた」と首脳陣にも発破をかけている。
鍵を握るのはセットプレーか。スクラムとラインアウトは、過去2戦で9割超の自軍ボール獲得率を記録。このプレーで重責を担うHO堀江翔太副将は「まだまだ修正する点はたくさんある」としながら、「上手いこといけば、どんどん相手にプレッシャーをかけられる」と手ごたえを覗かせる。
身体能力に勝るサモア代表を向こうに、低さ、ち密さ、まとまりで勝負したい。
フォワードが8対8で組み合うスクラムでは、「選手たちはスタッフの期待に応えてくれています。ただ、もっとパフォーマンスを上げたい」と元フランス代表HOのマルク・ダルマゾ コーチ。2013年に就任以来、各選手の首や足の位置までち密に指示し、8人全員がまとまるスクラムを提唱してきた。
「サモア代表はパワフルです。ただ、(組み合う瞬間の)スピードがあるというわけではありません。まずはフロントローの3人が、いいポジションを取れるように…」
その「フロントロー」の1人、HO堀江副将は、「サモア代表は選手によって組み方を変えてくるような。(試合中に)その都度『ああしよう、こうしよう』と(他のフロントローと)話していきたいです」と現場で起こりうる事態を想定。有事に備える。
ラインアウトでも細やかさが鍵か。LOトンプソン ルークが司令塔となり、相手陣形の盲点にジャンパーを飛ばして確実に捕球。その後の皆がまとまって押すモールは、得点に直結させた。
LO真壁伸弥は「ほとんどが準備の結果。1人ひとり、自分の仕事をしていることに尽きます。リーダーが『どこが空いている(捕球しやすい)か』を判断して、しっかりと皆に伝えている」と空中戦の妙味を語れば、FLマイケル・ブロードハーストはモールについて「大きな選手は(小さい自分たちの)上からかぶさろうとするが、それでは(上体が高くなって)押すことはできない。そんななか、自分たちは(組み込む際に)低くなること。それが全て。いかにタイトになるかです」と発す。さらに「スティーブがいろんな作戦を持っている。それをしっかり実践しています」とも続ける。
「スティーブ」とは、スティーブン・ボーズウィックFWコーチだ。「現役時代から分析は好きだった」という元イングランド代表主将LOは、ラインアウトの作戦立案とモールを組む際の姿勢や意識を徹底指導。最近のレフリング傾向や自軍の状況を踏まえ、こう展望を語っていた。
「最近はいいレフリングがなされている。(守備側が)モールの横から入ることは絶対にできない(塊を故意に崩すコラプシングや、攻防戦の前からプレーに参加するオフサイドの反則を取られる)。我々が速く、強くて低い姿勢を取ることで、相手の反則(苦し紛れに真横から入ったり、引き倒して崩そうとする動き)を誘える」
事実、室内練習時も、さまざまな防御法を繰り出す相手を前に「速く、強くて低いモールの姿勢」を作れるよう何度もシミュレーションを重ねていた。仲間の鍛錬するさまを見て、FB五郎丸歩副将も「セットピースを軸に、走り勝つ」とイメージングする。