ワールドカップ 2015.09.24

ジャパン旋風を止めたスコットランド 刺激受けて最高パフォーマンス

ジャパン旋風を止めたスコットランド 刺激受けて最高パフォーマンス
トライを決めたSOラッセルを祝福するレイドロー主将(写真中央)らスコットランド選手
(Photo: Getty Images)

「日本が南アフリカに勝ったことで大きな話題になったが、むしろ、それが我々のパフォーマンスの糧になったと思う。きょうは自分たちのエナジーを試合に集中させ、勢いがあるジャパンを倒し、ボーナスポイントも獲得できた。すごくいいスタートを切ることができて嬉しい」

 9月23日、ラグビーワールドカップのプールBで日本代表に快勝したスコットランド代表のキャプテン、SHグレイグ・レイドローは落ち着いていた。アグレッシブで組織化されたジャパンのアタックを封じ込め、最大の勝点5を手にした。
 4年前、ワールドカップで初めてプール戦敗退の屈辱を味わったスコットランド。時を経て、英国で開催される大舞台の第1戦で、古豪復活を印象づけるゲームだった。

 スコットランドは序盤から相手にプレッシャーを与え続けた。レイドローは、この日の試合会場となったキングスホルムスタジアムをホームとするグロスターに所属する。風のコントロールもよく知っていて、チームはキックを多用してジャパンを揺さぶった。

 前半、日本が流れを呼び込めなかった原因のひとつがスコットランドのキックだ。
「上空はけっこう風が強くて、風でボールが戻されることもあった。そこの対処が遅れてしまった部分もあったと思う」と、ジャパンのWTB福岡堅樹は振り返る。
 スコットランドペースで試合は進んでいった。

 日本が何度も敵陣22メートル内に入りながら得点できなかったのは、自分たちの判断ミスやコミュニケーションの失敗も原因だが、スコットランドのディフェンスが厳しかったせいでもある。ブレイクダウンでもプレッシャーをかけられ、自分たちの速い流れを維持することができなかった。

「日本は非常にパワフルだった。ゾーンからゾーンへのボール回しも速かった。彼らはすばらしい攻撃テクニックを持っていて、5回くらい、ゴールラインに近づいてきたが、我々はトライを取らせなかった。スコットランドは非常にいいディフェンスをした」と、勝ったヴァーン・コッター ヘッドコーチはジャパンに敬意を示し、自分の選手たちの奮闘を称えた。
「いままで2か月半、日本の様子を見てきた。彼らの忍耐強さ、コミットメント、士気、熱意、そういったものを我々はよくわかっていた。その通りだった。しかし、我々のプレーヤーも順応して、彼らに対応できた。きょうのスコアボードがポジティブな結果になったことをとても嬉しく思う」

 出場20チームが4組に分かれてそれぞれ総当たり戦をおこない、準々決勝に進出できるのは各組上位2チームだ。プールBを1位通過すると思われていた南アフリカがまさかの黒星発進となり、最終節まで混戦が予想される。
 現在、日本から4トライ以上(5トライ)を挙げてボーナスポイントも獲得したスコットランドが勝点5でトップ。2位は、アメリカから勝点4を奪ったサモア。3位は1勝1敗(勝点4)の日本で、初戦で敗れたもののボーナスポイント2点(日本戦で4トライ、7点差以内の敗戦による)を得た南アフリカが4位。そして0勝1敗(勝点0)のアメリカとなっている。

 日本は10月3日のサモア戦、同11日のアメリカ戦に勝てば目標のベスト8に入る可能性はあるが、3チームが3勝1敗で並ぶことも考えられ、ボーナスポイントと得失点差も重要になってくる。

 スコットランドのレイドロー主将は、「南アフリカがこのままおとなしくしているはずがない。とにかく、一戦一戦、自分たちがやるべきことに集中する」と語った。彼らは次、中3日でアメリカと対戦する。

(文:竹中 清)

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